第3戦 YAMAHA CUP 結果
YAMAHA Cup CONTENTS | STORY | PATTERN | 3rd STAGE RANKING |
HOT2018 第3戦 YAMAHA CUP
HOTは日程を決定する上で様々なコトを熟考しています。例えば、10年以上前のHOTが始まる以前の時代では、某ショップの店員さんから「浜名湖のボートシーバスは6月にならないと釣れないのでそれまでは浜名湖用のルアーは売れないんですよ」ということを聞き、それならばHOTの開幕戦は3月もしくは4月にしよう! ということになりました。実際その時代に筆者は4月のデイゲームでシーバスの爆釣を何度も経験しており、HOT開幕戦を春先に設定することで、結果的に浜名湖のルアーやタックルが売れる期間が長くなりショップさんにとってもメーカーさんにとっても、そしてアングラーの皆さんにとってもWIN-WINだったと思います。
しかし、4月も後半になると浜松まつりに参加する方は準備等で忙しくなることから開幕戦はできるだけ4月中旬までに行うというのが例年のスケジュール。GWは浜松まつりもありますが、HOT参加者は家庭を持つ方々も多いため家族サービスができる貴重な連休を奪わないためにもGWは開催自粛、そしてその後は5月末まで第一次運動会シーズンのためここも引き続きクローズド期間。そうなると必然的に第2戦は6月以降7月中旬までの時期になります。そして、7月下旬以降になると子供たちは夏休みとなるためここも開催自粛、第3戦は9月上旬から下旬になるワケですが、これも9月末にさしかかると第二次運動会シーズンの到来と、さらに各地で秋祭りシーズンとなるため10月下旬まで再びクローズド期間が続き、最終戦は11月となるのが例年のパターンでした。HOTの日程、こうやって決めてるんです。そう、釣れるタイミング、釣れる潮、全部無視です(笑)。でも、勝つアングラーは圧倒的に釣ってきます! これこそHOT!!
で、HOTも10年以上続いたということでもっともっと進化すべく今年は開催日程を少しだけ変更しました。個人的に最も興味があるのは最終戦で初の12月開催のHOT。これまで最終戦は遅くても11月15日までには開催しており、HOT最終戦が終了すると浜名湖のボートゲームもシーズン終了でまた来年!となる風潮があり、コレはコレであまりよろしくないな、と。各ショップさんも11月で浜名湖のルアーは売れなくなる…という定石が今年からひっくり返る可能性もあるので要チェックです!初冬の浜名湖でどんなパターンが最強なのか? 非常に気になるところです。
そしてもうひとつ、筆者の記憶ではおそらく開催したことがなかったのが今回レポートする8月開催のHOT第3戦です。
メインスポンサーは『YAMAHA』
今回のメインスポンサーは第1回のHOTから全戦においてサポートし続けていただいております『YAMAHA』さま。
世界トップクラスのシェアを誇るマリン製品を手がけるのが、磐田市に本社のあるヤマハ発動機株式会社であり、HOT参加者の使用する多くの和船や船外機も『YAMAHA』製品が非常に多く、その信頼性と性能は言うまでもなく最上級。船外機については4ストロークモデル2馬力のF2Bから350馬力のF350Aまで幅広いラインナップ。船体もすべてのユーザーを最高の満足度で満たすラインナップであらゆるマリンシーンに対応。浜名湖では定番中の定番である和船シリーズから、ベイスポーツ16、ベイフィッシャー20・23・25、SR-XなどHOT参戦の力強い味方となる最強のボートが揃っています。また、オフショア艇も充実しそのラインナップは非常に幅広く豪華!! ぜひホームページをチェックしてみてください!
今回HOTの会場には展示艇として、浜名湖内だけではなく近年人気の遠州灘オフショアフィッシングにも最適な、『F.A.S.T.23』が登場。デッキスペースの広さやコンソール位置等カタログなどではわからない部分まで詳細を確認することができ、HOT参加者からは「いい~!!」「欲しい!!」などなど率直な感想があちこちで飛び交っていました。
前日までの浜名湖
今年の夏はこれまでで最も暑い夏だった!と言っても過言ではないだろう。それくらい酷暑が続き誰が何と言おうとクソ暑い夏だったことに間違いはない。気温35℃越えは当たり前で、熱帯夜も何日続いているのかもわからないくらいとにかく暑かった。そんな暑さもHOT第3戦前には一度落ち着き、急に秋のような空気になった日が数日あった。夜間の気温も低下し、平均水深がごく浅い浜名湖は簡単に影響を受け、場所によっては32℃ほどあった水温がイッキに5℃前後低下したのだ。もちろんプリプラクティス中の選手にとっては状況激変のコンディションである。8月1ヶ月の浜松市の気温変化は以下の通り。
そして今年の夏は台風が記録的に多く、HOT直前の23日には台風20号が接近し浜松市内でも被害があったほどで、降水量も25ミリを記録。そこまでの大雨ではなかったが高水温が続いた浜名湖に気温の低下と雨が入りますます魚の状況を読むのは難しくなっていった。
当日の状況
当日の天候は晴れで最低気温25.1℃、最高気温は35.8℃まで上昇する猛暑日。湿度65%、海面気圧1011.1hPa、スタート時はほぼ無風から微風も9時すぎから南西の風が吹き時間帯や場所によってはやや強めの6m/s前後といったコンディション。
当日のタイドグラフは以下の通り。潮周りはフルムーンの大潮で午前5時19分に満潮で潮位122cm、その後12時15分に干潮で潮位28cm、つまり実際にはスタート直後に上げ止まり、そこから帰着まで下げというタイミングであった
クロダイ&キビレトップゲームの罠
午前6時半に受付を締め切りミーティング後にフライト開始。初の8月開催ということでシーズン真っ只中のチヌ系トップウォーター戦略をパターンに組み込む選手が半数以上で、今年注目を集めたスミス・チヌペンFWをはじめ、ペンシルベイト以外にもポッパーやノイジー系など様々なトップウォータープラグが選手のタックルにセットされているのが確認できた。
しかし、だ。このベストシーズンと誰もが思ったことがすでに『罠』であった。確かに大会当日、多くの選手がこのトップゲームで反応を得ることに成功し、実際にリミットメイクを果たした選手も存在するが、出るけどのらない、そもそも出る数が少ない、といった状況にフィールド全体が陥っていた。もちろんプレッシャーがかかりやすい戦略ということもあるが、前週に下がった水温や2日前に降った雨など、コンディションが安定しなかったのも要因の一つであったのは間違いない。
なんと、この第3戦で表彰台5名全員がこのトップゲームを捨て、アンダーウォーターのパターンで結果を出してきたのである。これはさすがに意外だった。
ボトムワインド最強説が再燃
このような状況であったがチヌ系トップパターンと並んでシーバスパターンもほぼ消滅しておりウエイインする選手はほんのわずかであった(2名のみ)。しかしながら5位入賞の堀選手だけは1本のキッカーシーバス2,540gを持ち込み表彰台へ滑り込むあたりサスガとしか言いようがない。エリアは村櫛ミオでブレイクの変化を狙い続け唯一のバイトをモノにした。表彰台で堀選手がいつも教えてくれる大きなヒントは本当に勉強になる! やはり参加しないとわからない情報は会場にて!というか、HOT参加者は表彰式後に各々アングラー同士で話し込む姿があちらこちらで見ることができ、同じ大会の参加者というだけで面識が無くてもみんなが仲良く情報交換をしているのが主催者としてはとても嬉しい光景である。さらに盛り上がって上位入賞者のボートに乗り込み数人で反省会フィッシングに繰り出すツワモノもいるぐらいで、もはやこれもHOTの風物詩となっている。まだここを見てくれていてHOTに出場経験のない皆さん! ぜひぜひ一歩踏み出してみませんか? レベルアップの扉が簡単に開けるかもしれません!! おっと、余談が過ぎたが堀選手のヒットルアーはザブラシャッドであった。
そして4位には前回公開したシークレットテクニックのジグヘッドパターンを今回も実戦投入した黒田選手がキビレ×2・クロダイ×1でリミットメイクし2,640gをウエイイン。不安定なトップパターンを捨て、安定したジグヘッドパターンで手堅くまとめ年間チャンプにまた一歩近づいた。エリアは庄内湖で、その中でも絞り込んだほぼワンエリアでギリギリのアプローチを仕掛け、ラインブレイクに悩まされつつも複数のキーパーをキャッチ。どうしてもラインブレイクで獲れないビッグサイズを異なるアプローチ(メタルバイブ)でバイトを誘発させキッカーキビレを追加して入れ替え。使用ルアーはジャッカル・チビチヌ蟹とnada・スパロー14g(グリーンゴールド)であった。しかしながら、前回のHOTで爆発的な釣果を上げたジグヘッドパターンを公開していただいたものの、この第3戦についても同じパターンで釣ってきたアングラーは黒田選手ただひとり。そう、このパターン、スーパーテクニカルであり超高難度の技術を要求される釣りなのである。神経質であるチヌ系を超高精度のボートコントロールとキャスティングテクニックで狙い撃ち、バイトが出るまでのラインコントロールを風が吹く中でも完璧にやりきれなければ絶対にフッキングまで持ち込めないのである。一朝一夕にできるものではないという事実が今回のHOTではまざまざと浮かび上がったと言ってもいいだろう。
3位はシャッディングでマゴチ×2・キビレ×1を持ち込み2,660gをスコアメイクした森敏規選手が入賞。エリアは猪鼻湖のシャローで張り出している地形変化とゆるいブレイクを狙いコンスタントにバイトを得ることに成功。シマノ・パブロシャッドを駆使してタフコンディションの浜名湖を見事に攻略した。近年、春先の開幕戦では絶対に外せないパターンとなったシャッディングであるが、今回のようなシーバスでのビッグウエイトが望めないローウエイト戦では非常に効果的なパターンであることが証明された。
そして今回ワンツーフィニッシュとなったのは同船者同士であり同じパターンで結果を出した準優勝の松田選手と優勝の山崎選手! 松田選手はキビレ×2・マゴチ×1でジャスト3,000g、山崎選手はキビレ×3で3,260gをスコアメイク!! ローウエイト戦となった中で上位2名のみが3kg台という圧勝となった。パターンはなんとボトムワインドで使用ルアーもセッティングほぼ同じマナティ75(ハゼカラー)+ZZhead 3/8ozの組み合わせであった。エリアはS字航路周辺と内山海岸のピンスポットでキビレの群れを狙い撃つ戦略がズバリ完璧にハマった。
ピンスポット撃ちのボトムワインド
今回のウイニングパターンであるボトムワインドはこれまでのHOTで幾度となく優勝を飾ってきた誰もが認める浜名湖最強テクニックのひとつである。ただ、傾向としては低水温期に強いイメージがあり、これまで7月や9月に開催されたHOTではほとんど結果が出ていなかった。しかし、準優勝の松田選手と優勝の山崎選手はこのボトムワインドの名手であり、年間オールシーズンボトムワインドを軸にしてHOTへ参戦しているアングラーである。表彰式後に話を聞くと、真夏でも関係なくターゲットを見つけることができればボトムワインドで問題なく釣れ、それは他のシーズンと変わらないとのことであった。
そしてもうひとつ、松田選手が非常に重要なことを教えてくれた。近年浜名湖ではピンスポットの釣りが主流となり、エレキを駆使してストラクチャーやブレイク等といった変化を高精度の釣りで攻略することがトレンドとなっていた。それに対してオープンウォーターを主戦場とするボトムワインドは、「だいたい」のエリアセレクトで攻めることが多く得てして精度の高い釣りであるとは見られず、結果についても運の要素も大きいと思われがちであった。もちろん数年前に起こったボトムワインドフィーバーの時代では、その絶大な威力とたまたまマゴチやキビレが多い年に当たったため、その「だいたい」で誰でも釣れたのである。
しかし、魚の個体数が減り、ファーストインパクトのチカラが消えた代わりにプレッシャーがかかるようになるとボトムワインドで釣れるエリアもタイミングも狭くなり、テクニックにも精度が必要になると誰でも釣れる以前のイージーさは皆無となる。そう、エレキで目に見えるピンスポットを撃つのと同じく、見えないインビジブルスポットをあくまでもピンスポットと捉え松田選手と山崎選手は攻略していたのである。広大な浜名湖本湖エリアで極々狭いスポットを数ヶ所絞り込む作業こそが、通年ボトムワインドを軸として浜名湖の釣りを楽しんでいるお2人だからこそできる究極のピンスポット撃ちだったのだ。
オープンウォーターの釣りを精度の低い「だいたい」の釣りと捉えるのではなく、イメージとしては4位入賞の黒田選手が杭撃ちをする時と同じ超高精度の攻めをGPS魚探を駆使してオープンウォーターの「狙った1点」をキャスティングで射貫く釣りが、進化した新たな浜名湖のボトムワインドゲームであったのである。
今回のウエイインターゲット内訳とヒットタイム
第3戦の傾向は以下の通り。シーバスが全体で2本しかキャッチされていないためこういったHOTでは必然的にローウエイト戦となる。となると、やはりキビレをメインに狙うのが定番の戦略となりいかに狙ってキロオーバーのキビレをキャッチできるか、もしくはキッカーサイズのクロダイを仕留めることが出来るかが勝負のカギになってくる。もう少しシーバスがイージーな状況であればキビレでリミットメイクし、キッカーシーバスをミックスバッグで4~5kgという計算になるが、今回はシーバスをキャッチすることは至難の業であったためこのあたりの戦略を組む時点で正解だったのか?失敗だったのか?改めて自分を振り返ってみるとレベルアップに繋がるハズである。
キビレ | クロダイ | マゴチ | シーバス | ヒラメ | |
~7:30 | |||||
~8:00 | 1 | 1 | |||
~8:30 | 3 | 1 | 1 | ||
~9:00 | 1 | 1 | |||
~9:30 | 4 | ||||
~10:00 | 1 | ||||
~10:30 | 3 | ||||
~11:00 | 1 | 2 | |||
~11:30 | 6 | 1 | 2 | ||
~12:00 | 2 | 1 | |||
~12:30 | |||||
~13:00 | 1 |
ヒットタイムについてはスタート直後からほぼずっと下げだったことから、特に偏りはなかったがシーバスについてはやはり厳しい状況だったため一瞬のベストタイムしか口を使わなかったことが推測できる。その同時刻に優勝の山崎選手が約30分の間にリミットメイクを果たしており、キビレラッシュで数が伸びているためココ(11時~11時半)が今回のプライムタイムであったとも見ることが出来るであろう。筆者もトップで4バイト全バラシだったがラッシュがかかったのはこの時間帯だった。エリアはそれぞれ全く違うが、このあたりのジアイは何か関係しているものがあるのかもしれない。
ターゲット別のヒットエリアは以下の通り。内山海岸と庄内湖ではキビレとマゴチがそれぞれ同じ釣り方でキャッチされており効率が良かったことがうかがえる。内山海岸ではボトムワインド、猪鼻湖ではシャッディングによるミックスバッグでウエイトを伸ばした選手が上位入賞という結果となっている。
キビレ | クロダイ | マゴチ | シーバス | ヒラメ | |
内山海岸 | 8 | 3 | |||
庄内湖 | 3 | 2 | |||
猪鼻湖 | 5 | 1 | 2 | 1 | |
村櫛ミオ | 1 | ||||
新川 | 2 | ||||
亀ノ口 | 1 | ||||
鷲津航路南 | 1 | ||||
S字航路 | 2 | 1 |
最終戦は初開催の初冬12月
次戦は初開催となる12月のHOT。
第3戦に続き過去データが一切なく、晩秋を引きずっているのか完全に冬となっているのかかなり微妙な時期である。ただ、浜名湖内はおそらく最低水温に達する前であり、過去のビッグウエイトが出ている11月開催の2~3週間後ということを考えるとマックスウエイトの期待も当然高まってくる。誰がどんなパターンで12月の浜名湖を攻略するのか?そして年間チャンプはこのまま圧倒的な強さで暫定1位の黒田選手がH.O.Y.に輝くのか?目が離せないHOT2018も残り1戦である。