第1戦 SUZUKI MARINE CUP 結果

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 SUZUKI MARINE

HOT9年目の挑戦

 2008年6月から始まった浜名湖オープントーナメントも今年で早9年目。過去8年間で32戦のドラマがあり、その時代のトレンドをそのまま表現してきた国内屈指のソルトトーナメントは変革の時期に入っている。

 根本的な人口減少、少子高齢化なども影響し若者の釣り離れは加速するばかり。聖なる琵琶湖畔にある中学校ですらクラスの中でバスフィッシングを楽しむ生徒は1人いるかいないか…と聞くと、危機感すら覚える。
 そこで今年からHOTでは少し方針転換し、若年層や学生がより浜名湖のボートフィッシングに、そしてルアーフィッシングに興味を持っていただけるようなイベントにすべく、現在様々なアイデアを参加者とともに検討しています。
 今後のHOTにもぜひご期待ください!!

 

もはやキビレは開幕戦の主役

 ここ数年、開幕戦の勝敗を左右するのが間違いなく「キビレ」の存在である。昔から浜名湖はキビレの生息に非常に適した環境であり、もしかしたらそれは日本一の魚影を誇るほどのものであるかもしれない。それほど浜名湖にはキビレがわんさかいるのだ。
 今回も全部で39本のサカナがウエイインされたが、そのうち24本がキビレである。実に61.5%もの割合となり、キビレが圧倒的に釣れていることがすぐにわかる。
 浜名湖の春はキビレを外しては語れないのだ。

 

前日までの状況

 この春は順調に暖かくなり、特に例年と大きく違った変化はない4月となった。シーバスも続々と入湖し、キビレは真冬から居残り組が安定してボトムワインドで釣れていた。マゴチも釣れはするのだが、以前のようなビッグママは姿を見せず、40センチ前後のオスと見られる個体が大半を占める状況。ビッグウエイトは時期的に狙うことは困難であるが、手堅く2000gベースのウエイトをどのようにして作っていくかがキーとなった。

 しかしながら、過去の開幕戦を紐解くとシーバスもかなり釣れていることがわかる。秋のようなスーパーウエイトは出ないものの、パターンをつかめば安定したウエイトが出せるのもシーバス狙いの特徴だ。他の時期に比べ、比較的南エリアでの反応が良く、シーズン初期ということもありプレッシャーが低いのも好材料である。シャローにうろつくグッドサイズを確認した選手も多く、そのシーバスでリミットメイクするか、またはキビレでベースウエイトを作りそこにどれだけシーバスで入れ替えができるか、この2つの戦略が、勝負の分かれ目になることが予想された。

 

当日の状況

 HOT2016開幕戦『SUZUKI MARINE』CUPのエントリーは58名。初参加の方々も多く運営サイドとしては嬉しい限り。今年から協賛スポンサーも大幅に増加し、また一段とレベルアップしたHOTを展開していけるよう努力していくつもりである。

 さて、当日の朝は曇りで西の風が6mほどと、ちょっと風が強いかな、という印象。ただ、前日が晴天ドピーカンであったため、この天気はシーバスの食いが立ちそうな予感を抱く天候であった。
 しかし、結果的には9時半頃から風がほぼ無風となり天候も回復。暑いくらいの晴天となり12時過ぎまで無風の厳しいコンディション。12時半にやっと南西の風が吹き始め、12時40分頃に東風に変わり状況が激変したがストップフィッシングは13時ということでフィニッシュ…といった具合の天候であった。

 タイドはというと、この日は中潮で満潮が6時24分、干潮が13時19分である。HOTのスタートは7時であり、実際の浜名湖南エリアでの潮の動きはタイドグラフより2時間ほどの遅れが生じることから8時30分頃まで上げ潮、9時前後から下げ潮となり帰着時間まで下げが続いた、という状況である。
 一般的には浜名湖ではハイタイドの下げはシーバスが最も釣りやすい条件のひとつとされ、この日の潮はよくある釣れない理由「潮のせい」にはできない状況でもあった。

 

2年連続の開幕戦優勝!!そして昨年最終戦からの2連勝!!

 そんな状況の中始まったHOT2016開幕戦、フタを開ければ例年よりもシーバスの安定感が欠け、よりキビレでのリミットメイクが重要となった今大会。いつもなら少なからずシーバスのみでリミットを達成してくる選手が存在するが、今回は昨年3度目の年間チャンプとなった堀選手ですらシーバスを揃えることができなかったのである。
 全体的に釣れてくるサイズが小さく、ウエイインしてもキーパーとなる40cmを超えずに検量対象外となる選手が続出。
 堀選手をはじめ、今大会の台風の目、若干16歳の伊藤選手も惜しくもキーパーサイズに届かず、ナイスサイズのバラシもあり、ボーターとしてのデビュー戦を飾ることはできなかった。

 その中でやはり火を噴いたのは昨年から爆発的な成長を遂げた山田賢治選手。
 猪鼻湖のシャローを「ジャッカル・想流シャッド58SR」と「nada.・VIZLA」で攻めてクロダイ&キビレをボトムノックパターンで釣っていくメソッドを今大会に照準を合わせて確立。開始1時間足らずでシーバス×1、キビレ×2とリミットメイクに成功し、さらに女ヶ浦沖にて「ジャッカル・想流シャッドMR」にてシーバスを1本入れるも入れ替えはできずそのままフィニッシュとなり、この時期としてはハイウエイトとなる3,330gを叩き出して見事開幕戦を昨年の開幕戦に続き2年連続で優勝。そして昨年最終戦も勝っているため2連勝となったのである。
 その豊富な練習量と緻密なゲームプランで本当にスキがない。黒田選手が一時的に出場していない穴を埋める新たな浜名湖マイスターを今年止めるのは果たして誰か?
 本当に日々進化していく浜名湖の釣りには驚かされる。

 

ウイニングルアー

 

 開幕戦を制したのは「ジャッカル・想流シャッド」と「nada.・VIZLA」。
 両企業ともに今年からHOTのスポンサーとして支えていただくことになったが、いきなり初戦で結果が出た。
 ジャッカル・想流シャッドについてはクランクベイト並に障害物回避能力が優れており、その上シルエットが小粒なのでクロダイやキビレに対しても抜群の効果が確認されております。甲殻類を捕食しにシャローへ上がってきたキビレを、ハードボトムに常にコンタクトさせるように操作してバイトを誘発。シャッドの領域を逸脱した根掛かりのし難くさと、その飛距離で舞台が海でも変わらずに大活躍。

 さらに、黒田選手が立ち上げたブランド「nada.」からはクロダイ&キビレをターゲットにした変則型スピナーベイト?テイルスピン?とにかく釣れるし何より結果が出てる。
 ボトムコンタクトさせながら根掛かりを防ぎ、しかもブレードのフラッシングで魚を誘う。
 HOTデビュー戦でいきなりの優勝はハンパないポテンシャルを感じずにはいられない!!

 

裏切らないボトムワインド

 さて、そして準優勝は真冬からずっとボトムワインドでキビレを追いかけ続けているという松田秀生選手。同船者である山嵜選手も4位入賞ということで見事にキビレの動きを読み切った証と言えるだろう。
 使用ルアーはもちろん「オンスタックル・ZZHEAD1/4-3/8oz+マナティ75-60(MT-06ハゼ・MT-17ゴールドラッシュ)」である。

 松田選手のスゴイところはその的確すぎる〝狙い〟にある。
 絞りに絞った中央航路周辺フラットではピンスポットでもエリアでもなく真冬よりも小さくなった『キビレの群れ』。その動きと喰いが立つ時間をまず読むところから始まる。表彰台インタビューでは、HOT当日のタイドに注目し、「上げ」でのバイトが多発していることをプラクティスで確信的に掴んでおり、その言葉通りの展開で潮止まり前までに2本をキャッチ。その後独特のエリアを見極める目で小移動を繰り返し、4位の山嵜選手とプチラッシュを交え2名ともにリミットメイク。
 エリアの見極め方のキモは2つあったが、これは会場にいた参加者の特権ということでここでの公表は控えさせていただくことにして、それにしても広い浜名湖でこれほどの絞り込みができるのはサスガである。

 

 さらに3位に入賞した山田義人選手も奥浜名湖のフラットエリアでボトムワインドを駆使してキビレのみでリミットを達成。こちらも9時前には3本を揃え、やはり準優勝の松田選手が語った通りの「上げ」でのバイトラッシュだったようである。
 使用ルアーは「オンスタックル・ZZHEAD1/4-3/8oz+マナティ75(MT-06ハゼ・MT-15クロキン)」である。
 さらにさらに、山田選手と同船していた今回の紅一点、三田知美選手も終了1時間前、カレントが効いたS字航路周辺で貴重な1本のキビレを「オンスタックル・ZZHEAD1/2oz+マナティ90(MT-06ハゼ)」でキャッチして入賞圏内となる20位に滑り込んだ。スバラシイ!!

 最後に5位には昨年の最終戦準優勝で波に乗る石塚哲史選手が、2,220gというこの時期としてはスーパーキッカーとなるシーバスを持ち込んで会場を沸かせた。
 2番航路にある流れのヨレに「バスデイジャパン・ジップベイツ・リッジディープ70S」を入れてキャッチした値千金の1本であった。

 

HOTだからこそ解る!! 驚愕のキビレヒットデータ

 今回は前述した通りウエイインされた魚の半数以上がキビレであったため、その傾向を掴みたくてウエイインした参加者のご協力を得てHOT独自のデータを作成してみた。実は数年前にマゴチが爆発的に釣れた時、一度だけHOTでデータを取ったことがあったのだが、サンプル数がバラバラで正確ではなかったので公表できなかった経緯がある。
 しかし当時のそのデータにおいても確実にヒット数が増える時間帯は存在し、タイドや風などの条件で明らかに変わる状況が手に取るように解ったのである。

 そして今回、ウエイインされたすべての魚のデータを取得。39本のヒットタイム・ヒットルアー・ヒットカラー・使用ロッド・リール・ライン等々…出来得る限りの情報をいただくことができた。HOT参加者全員には本当に感謝申し上げたい。

 そして今回、ウエイインされたすべての魚のデータを取得。39本のヒットタイム・ヒットルアー・ヒットカラー・使用ロッド・リール・ライン等々…出来得る限りの情報をいただくことができた。HOT参加者全員には本当に感謝申し上げたい。  そしてそして、そのデータを解析してみると、やっぱりスゴかった(笑)。
 いろんなデータの見方があるが、まずココで注目したいのはキビレのヒットタイムのデータである。準優勝の松田選手が語っていた「上げ」でのバイト。結果からお伝えすると、これは今回のデータで完全に証明されたのである。あくまでいつでも「上げ」が釣れるとは限らないが、少なくともHOT当日は「上げ」が止まるまでのバイトが多かったのは疑いようもない事実なのだ。
 下記の表とグラフを見ていただきたい。

  キビレ シーバス マゴチ ヒラメ
~7:30 4 1    
~8:00 8 1   1
~8:30 2      
~9:00 1 2 1  
~9:30 1 2 2  
~10:00     1  
~10:30 1 1    
~11:00   1   1
~11:30 1   1  
~12:00 5      
~12:30 1      

 この表が58名でキャッチし、ウエイインされた魚種とヒットタイムである。実際にはシーバスをヒットさせてもバラシた参加者も多く存在する(筆者自身も風が吹いた12時42分にシーバスを2連発しているが両方バラシ…泣)ため、もっと正確なデータを作ることも求められるが、それでも顕著な傾向が出ているのがすぐに解るだろう。

 そう、24本のキビレのうち、実に半数以上となる14本が「上げ潮」のスタート直後から8時30分までの間にキャッチされているのだ。つまり、準優勝の松田選手が語った「上げ」パターンは見事なまでに成立していることがこのデータから明らかに見て取れるのだ。まさに驚愕のデータである。
 さらに、11時30分以降の7本については、7本中4本が松田選手(1本)と同船の山嵜選手(3本)でキャッチしたキビレである。この4本については前述した通りのタイドや潮とはあまり関係のない、どちらかと言えば人為的な要素で成立するパターンでキャッチしたキビレとなる。そんなパターンまで成立させてしまう…そして惜しげもなく会場のみんなに教えてくれる松田選手に感謝!!

 

年間チャンプの行方

 さて、そんなわけで終了したHOT2016開幕戦であるが、まだ1戦を終えただけなので時期尚早だとは思うが、年間チャンプ争いがまたアツくなる予感。本来であれば30位まで年間ランキングポイントが獲得できるが、開幕戦は24人しかウエイインできなかった。したがって開幕戦で1本でも釣った選手は相当有利となるのだ。

 昨年の年間チャンプにしてHOT史上最多の3度のチャンプとなっている堀選手はまさかの5Ptスタート。勢いに乗る山田賢治選手が優勝、同じく勢いがある石塚哲史選手も続いており目が離せない。そして2013年に年間ランキングでワン・ツーフィニッシュしている松田選手と山嵜選手も揃ってお立ち台を獲得している

 HOTを全4戦とした理由、それは筆者がかつて出場していたJBマスターズが年間6戦だったことに由来する。なぜ4戦かと言うと、3戦では絶対に失敗は出来ないのである。3戦の年間ランキングでは1戦ハズしてしまうとそこで終わってしまうが、4戦であればなんとかギリギリ1回のミスは許されるのだ。熾烈な年間チャンプ争い、今年のHOTは誰が獲るのか?!

 

年間チャンプの行方

 今年からHOTでは若年層を中心に、浜名湖でのボートフィッシングやルアーフィッシング、そしてHOTで釣るためのノウハウを、一緒に釣りをすることでお伝えするイベントを開催予定!!まだあくまで検討段階ですが、日程も決まっているためとりあえずやってみるつもりです。目的は釣り人口の増加・若年世代のボート&ルアーフィッシング普及・HOTで釣れるアングラーになるために…といったところです。

 内容は、次戦(7月3日オンスタックルCUP)の2週間前の日曜日、6月19日にHOTメンバー「HOT運営:小野田賢一・HOT最強:黒田健史・HOT最多年間チャンプ:堀勝次・HOT2011年間チャンプ:内山徹・A航路の主:清水豊記・ボトムワインダー:前原裕之」全6名のボートに2名ずつくらいで別れて乗船し、実際にHOTと同じ時間帯に釣りをします。
 HOT第2戦の2週間前ということで潮まわりはHOT当日とほぼ同じ状況となるため、2週間前のプラクティス(試し釣り)ではどんなことを、どのように探し、本番に向けてどういった組み立てをしていくかを学びます。
 また当日の釣果や学んだ成果を持ちより、午後はミーティングを全員で開催することで現在の浜名湖の状況も細かく分析します!!もちろんボートフィッシング初心者でもOKです!!
 参加条件は、7月3日のHOT第2戦にエントリーできる方、とさせていただきます。料金は基本的には無料の方向で考えていますが、開催日時・場所・内容等はまだ本決定ではありませんので、詳細が決まり次第またホームページならびにFacebook等でお知らせいたします。

 ぜひヤングアングラーの皆さん、仲間を誘って参加してみましょう!! そしてHOT参加者の皆さん、この考えに賛同しご協力いただける方はぜひご連絡をお願いいたします。

 

 (report:小野田賢一) 
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