第4戦 まぐろの海商 & DOG FIGHT CUP 結果

 まぐろの海商 & DOG FIGHT Cup CONTENTS | STORY | PATTERN |  4th STAGE RANKING |

まぐろの海商   DOG FIGHT

 これまで数々のドラマを繰り広げてきたHOT最終戦。シーズンを締めくくる一戦にして、スーパーハイウエイトが期待できる秋の浜名湖は2016年最終戦をどのようなシナリオに導いたのか?まずは本戦に先立って開催された「ヤングアングラー応援プロジェクトvol.2」の様子からお届けしよう。

 

ヤングでないアングラーも

 HOT最終戦が行われる一週間前の11月6日、応募総数は7名、先生役のアングラーは5名ということで、今回は応募いただいた全員にご参加いただいた。ヤングアングラーということで、20代前後を想定してのイベントであるが、嬉しいことに10代の参加者も多く、上は40代の方まで申込があった。

 このイベントの趣旨はもともと今年のHOT開幕戦の参加者名簿に20代アングラーがたった1名しかいなかったことに危機感を持った筆者と運営スタッフが、底辺拡大と市場拡大のための次世代対策として開催に至った経緯がある。HOTにもっと気軽に参加してほしいという気持ちがあるので、HOTに興味がありこれまで出場したことがない、という方であれば趣旨として同じことなので年齢も関係ないか(笑)となり今回は応募者全員に参加いただいた。ちなみに来年以降も不定期でこのイベントは開催予定で、まだHOTに出たことのないアングラーや、何度か出たけどサカナが釣れず諦めちゃったがまた挑戦したい等HOT出場に躊躇しているアングラーを中心に年齢制限を撤廃して開催するつもりである。ただ、ヤングなアングラーはもちろん最優先しますのでぜひぜひ多くの方の申込みをお待ちしております!!

 ということで、だいぶ脱線したが11月6日のイベント当日は6時半集合でミーティング、クジ引きで誰のボートに乗るか決め、7時スタート、12時帰着で釣果を確認、出前でカツ丼と天丼をとってみんなでランチしながら超濃厚な情報交換 &質問タイム、といった流れ。実釣結果は黒田選手のペアが3本で推定6kgオーバーを持ち込みさすがの存在感を見せ、ノーフィッシュで終わるボートはなく、何かしらサカナの見つけ方、釣り方のヒントはお見せすることができた結果となった。

 参加者の申込み理由として最も多いのがとにかく狙って釣れない、または昼間にシーバスを釣ったことがない、というものであり、プラクティスのやり方から試合当日の戦略、狙って釣るための要素の確認などをしてもらった。ミーティングではかなり突っ込んだ質問も多く、それ聞いちゃう?といったことに対しても包み隠さず教えていただいた先生役アングラーには感謝!ただ、単に全てを答えとして教えてしまうと、なぜそういう考えになるのか?というプロセスが抜けた状態になるので、自分自身で「見つける」能力と、発見するという「楽しみ」を奪いかねないのでそのあたりのバランスは保ちつつ、答えに近づくための最大限のヒントを共有した、というのが最も正しい言い方になる、というのがホントのところである。

 何はともあれ、参加者の皆さんからは大満足な感想を多くいただいたので、とりあえずHOT最終戦一週間前の当イベントは大成功のうちに終了した。

 

前日までの状況

 さて、HOT最終戦前日までの状況であるが、11月に入ってから比較的暖かい日もあり本格的な冬日はごくわずか。水温も順調に下がってきてはいるものの、まだまだ初冬には遠いといった感じ。第3戦のシーバス祭り大爆発なパターンはしばらく続いたものの、最終戦が近くになるにつれオープンウォーターのサカナは減り、シーバスを見失う選手も続出。また、この時期定番のボトムワインドで狙うキビレもナゼか絶不調に陥り、キーパーギリギリのマゴチがたまに混じる程度。狙うエリアとターゲットは徐々に徐々に絞られてくるという展開となった。

 

 前述したヤングアングラー応援プロジェクトでは、黒田選手が3番鉄橋南をメインとする最南エリアで秋の定番スポットをメガバスX-80SWでランガンし推定6kg超、筆者のボートに乗っていただいたヤングアングラーもなんと1投目で同エリアでシーバスをキャッチとこのエリアのポテンシャルは確認できていた。しかし、この日多くのシーバスは庄内湖でキャッチされており、また内山選手も定番の2.5番でスコアメイクしていることから、広い範囲で釣れてはいるものの、第3戦で爆発したオープンエリアや本湖、細江湖、猪鼻湖での釣果はほとんど無いに等しかった。

 

当日の状況

 HOT最終戦当日の天候は安定した晴れ、これまで過去数年にわたり最終戦は雨が続いていたため、運営側としてはひと安心といったところであるが、終日風もほとんど吹かずトーナメントコンディションとしては厳しい状況となった。

 ただ、潮周りは大潮の下げということでここをどうプラス要素として味方につけるかが今回のキーでもあった。タイドグラフは下記の通りであるが、間違えてはいけないのがこの時期の大潮は春夏のそれとは違う、ということ。名前は大潮であるが、その大潮にも様々なパターンがあり、気圧などの関係で必ずしもタイドグラフと同じように動くとは限らない。この時期の大潮は総じてマイナス潮位まで下がらないので、春夏のようないわゆる「ド干潮」とはなりにくいのである。つまり、南エリアの多くが干潟となり、爆発的にシーバスが釣れるスポットが数多く出現するパターンがハマりにくいのである。

 

完全密着ドキュメンタリー動画

 そんなコンディションの中、HOT最終戦はスタートし、 61名のアングラーは今年最後の勝負に秋晴れの下ボートを走らせた。

 今回は山田賢治選手の発案で、過去に黒田選手がやっていた密着動画撮影を同時に3名でやってみよう、ということになり、この2名に筆者である私、小野田選手を加えてスタートからウエイインまで撮影を行った。実はヤングアングラーの企画とも連動しているこの撮影の目的は、より浜名湖の釣りをオープンにし、浜名湖を楽しむアングラーがひとりでも増えて、さらにみんなのレベルアップにつながり、HOTへの参加者増加や市場の活性化(ルアーが売れたり、レンタルボートを借りる人が多くなったり…)が狙いである。HOTから最も新しい、生の情報を3人同時に同じ条件の下で収録し発信することにより、他のどの情報よりもHOTなコンテンツが完成するのは間違いない、と見たのである。

 この3名がどのような戦略で、どのようなトーナメント中のカケヒキをし、どのようなテクニックでサカナを探し実際に釣っていくのか? 3名同時に撮影するからこそわかるHOTの真実が一部始終収まるという何ともスペシャルな企画。3名のうち一人でも優勝に絡むことができれば、と考えていたが現実はそんなに甘くはなく、なんとか全員リミットメイクはできたものの最終戦らしい秋のビッグウエイトを叩き出すことはできず…。しかし、スタートから同時に3名の釣りが見れるのはおそらく国内ソルトトーナメントでは初?だと思うので、現在編集中のこの動画、完成次第youtubeにて誰でも視聴できるよう調整中ですのでぜひご期待ください!!

→「HOT2016 最終戦リアルストーリー」

 

まさかのクロダイ&キビレが ”0” ウエイイン

 さてさて、そんなこんなでスタートしたHOT2016最終戦、蓋を開けてみれば意外にも苦戦を強いられている選手が続出。ウエイイン率こそ65.5%と決して低い数字ではなかったが、明らかに前回とは違う難しい浜名湖の様相。さらに極め付けは、なんとクロダイ&キビレのウエイインがゼロ、誰も釣った選手がいないという前代未聞の事態!! ︎本来であればボトムワインドパターンがハマり出してイージーにキビレが釣れるシーズンではあるのだが、あのボトムワインドマスター松田選手ですら釣れない厳しい状況。シーバス狙いでキャストしていたらたまたま「釣れてしまった」系の個体も皆無でこれほどクロダイ&キビレがまったく釣れなかったHOTはおそらく過去になかったハズである。

 

秋のシーバス一本勝負

 という状況なので、必然的に勝負はシーバスに絞られることになったのだが、元々最終戦はボラ喰いの怪物シーバスをいかにキャッチするかで例年優勝が決まってきた。そのキーとなるベイトであるボラが今回は一極集中していたエリアが庄内湖の北側エリアだったのだ。もともとボラが多く入るエリアとして知られる庄内湖であるが、前日の状況は白山より奥の北側エリアにビッシリとボラの幼魚(10~20cmほどのイナっ子)が存在していた。その量は過去最高と言ってもいいほどで、ムラなく大量のイナっ子が全域の湖面を跳ねまくっている状況。スーパービッグなシーバスが喰っている25~30cmクラスのそれではなく、ちょうど食べ頃のサイズであったことは今回釣れたシーバスのサイズに関係があるのかもしれないと思わせる大きさであった。

 そして、庄内湖以外ではあまりベイトの気配がなく、結局本戦当日は南エリアの爆発力も影を潜め、奥浜名湖各エリアも結果的には沈黙となった。この庄内湖のイナっ子は非常にわかりやすく、このエリア以外あまりにもプアな状況であったことからHOT参加選手の多くが見逃さずに同エリアに集中したのは言うまでもない。オープンウォーターとストラクチャー撃ちという対極のエリアであったが第3戦に続き他のコンテンダーが見える範囲での釣り合いとなったのである。

 

ヤングアングラーの成長と活躍

 いつもより1時間早い帰着のHOT最終戦は12時にストップフィッシング。やはり今回はグッドサイズを入れることが非常に困難な状況であったことがうかがえるウエイインが始まった。結果を出す選手の中でひときわ会場が盛り上がったのが3位表彰台の伊藤誠哲選手と7位入賞の鈴木慎選手のウエイインだ。彼らペアは今年から始まった「ヤングアングラー応援プロジェクト」の第一回目の参加者であり、現役医大生。その環境と若さ、あくなき向上心をフルに活かしてプラクティスを行い今回揃って素晴らしい結果を叩き出したのである。

 これには先生役のアングラー全員が感無量であり、本当に今年イベントをやって良かったと思った瞬間であった。さらに11位の河合拓巳選手、12位の貴志凌選手、15位の伊藤彰選手、20位の平賀勇樹選手と「ヤングアングラー応援プロジェクト」組が20位入賞圏内に6名も入るという快進撃!! 今年の開幕戦で20代アングラーがたった1名という現実から最終戦には20位以内に10代が3名、20代が2名という想像以上の結果に運営サイドとしては嬉しい限りである。来年以降も彼らヤングアングラーの快進撃は必ず続くはずであり、HOTを制する日も必ず来る。また新たなヤングアングラーの挑戦ももちろんオープンに受入体制を整えているので、ぜひ勇気を振り絞ってHOTの門をたたいていただきたいものである。

 

苦節11年内山和章選手が8,200gで完勝!!

 そして今回の覇者は、HOTの前身であるJB/NBC浜名湖シーバスオープンの時代から出場し続け苦節11年、ついにその頂点を掴むことに成功した内山和章 選手!! メガバスタックルを愛用し、それでいて手持ちタックル全部にレンジバイブをセッティングするなどその偏愛ぶりは有名で、HOTになれば東名橋脚とホンダ前をこよなく愛する黒いバスボートの「ウッチー」。これまで数年に1度表彰台に上がることがあり、しかしそのどれもが準優勝や3位など頂点に届かないものであった。

 しかしながら、いつも同じエリアを攻めていると思いきや、表彰台に立つ時は決まってみんながあまりやらないエリアで釣ってくることも多く、かなり時間は経ってしまったがカナル正面の水路を東に抜けた庄内湖入口で表彰台に立った時にはノーマークだったそのスポットでの釣果に参加者全員が驚愕したものである。その日からそのエリアはHOT参加者の中で「ウッチー岬」と呼ばれているのは紛れもない事実だ。

 そんな、たまにすごい釣ってくる「ウッチー」は今回、はまゆう大橋東詰めの南側にあるハンプをメガバス・X-80SWで狙い撃ちし、フィーディングに上がってくるキッカーシーバスのみを釣って8,200gという圧倒的スコアで優勝。ウエイインした3本すべてが70cmクラスという素晴らしいスコアメイクで会場を沸かせた。念願のHOT初優勝、本当におめでとうございます!!

 

年間チャンプは9.9馬力和船の最強アングラー

 HOT2016最終戦、準優勝はこれまたグッドサイズのシーバスでリミットメイクを果たした鈴木孝啓 選手。鈴木選手も優勝の内山選手と同じような狙いで古人見~山崎、ハウス前のストレッチに点在する変化(ハンプ等)をバスデイ・レンジバイブ55ESで攻めて5,770gをウエイイン。

 この結果、HOT2016年間チャンプの称号も鈴木選手のものとなり参戦2年目にしてタイトルを獲得することとなった。この広大な浜名湖で、いわゆる昔からのスタンダードスタイルである和船+9.9馬力エンジンという装備での年間チャンプ奪取。しかしながら、その立役者は『エレキ』にアリ、ということを付け加えておこう。いずれまた、鈴木選手の装備や釣りを紹介するコンテンツを制作したいと考えているのでお楽しみに!!

 

3位には現役医大生アングラー

 そして3位には前述した医大生アングラーの伊藤誠哲 選手。彼もまた船舶免許を取得したばかりであり、レンタルの和船スタイルで今年から「ヤングアングラー応援プロジェクト」をきっかけに参戦。この最終戦で見事5,290gというビッグウエイトを持ち込んで3位表彰台をゲット!!

 

 同船の鈴木慎選手も7位入賞と今後の活躍が楽しみな2人である。使ったルアーはnadaのスパロー20g。はまゆう大橋北側にある崩れカキ棚を狙いグッドサイズのシーバスを連発。多くの選手が白山よりも奥の崩れカキ棚を攻めていたのに対し、よりタイドによるカレントが効くエリアにある崩れカキ棚をセレクトし、その確かな着眼点で結果を出した。

 

4位は日本を代表するトッププロ

 さらに4位には日本を代表するバスプロ、神谷勇紀 選手が4,820gをウエイイン。なんとシーバス2本の釣果であり、もう1本あれば、というスコア。エリアは庄内湖全域の崩れカキ棚で、バイブレーションプラグを使用して杭の際50cm以内を通さないとバイトはなかったという。群を抜く精度のキャスティングと状況判断でノープラクティスの参戦であっても結果を出すあたり、さすがである。

 

5位は昨年の最終戦覇者

 表彰台滑り込みとなる5位は昨年の最終戦と今年の開幕戦で連続優勝を記録した山田賢治 選手。前述の通り、密着取材をした中で唯一の表彰台となったのでぜひ編集後の動画公開をお楽しみに!! エリアは今回のキーエリア、庄内湖で崩れカキ棚をバスデイ・レンジバイブ70ESとnadaのスパロー14gで攻めて4,730gをスコアメイク。

 

番外編の秋パターン

 最後に今回はうまくハマらなかったが、爆発したらヤバかったパターンを持っていたのが過去3度の年間チャンプを獲得しているKING of HOTの堀 勝次 選手。浜名湖では大型ベイトと言えばボラであり、それを捕食しているシーバスが全ターゲットの中で確実に最重量個体となる。東京湾のように水深のあるエリアに大量のコノシロが入るという現象が起きない浜名湖では、どうしてもその浅い平均水深と個体数の関係性上なかなかビッグサイズのマッチ・ザ・ベイトの釣りは成立しにくい環境であることは確かだ。しかしながら、30cmクラスのボラを平気で食べるシーバスが存在していることもまた事実であり、それを狙って獲るパターンも存在する。

 堀選手は都田川エリアをセレクトし、数は少ないモノのこれらのボラ食い怪物シーバスに的を絞り、ガンクラフト・ジョインテッドクロー178を駆使してHOT最終戦に挑んでいた。惜しくも天候が安定し過ぎたせいかビッグベイトへの反応は鈍くなり、それでも80アップのバイトを一度だけ引き出したものの完全なストライクにはならなかったそうである。しかしながらプラクティスではこのジョイクロパターンがハマり、3本で夢の10kgオーバーが少しだけ見えるところまでの爆発力を確認していた、というから驚きである。
 また来年、同選手がリベンジのスーパーウエイトを叩き出すことを期待しよう。

 

恒例のまぐろ解体ショー

 もはやHOT最終戦の恒例となっている「まぐろの海商」さん無償提供のマグロの解体ショー。今年も大盛り上がりで美味しいマグロを参加者とそのご家族でいただきました。本当にありがとうございました!!

 

HOT2017へ向けすでに始動

 さて、2008年から現在のHOT実行委員会が運営を続け、ついに来年10周年!! これも支えてくださったスポンサー企業各社様と参加者の皆様のご協力のおかげであります。本当にありがとうございます!!
 来年は区切りの10年目ということで、さらにさらにパワーアップしたHOTを展開していきますのでぜひご期待ください!
 HOT2017/10th Anniversary と題しこれまで培ってきたノウハウをフル稼働させ、より魅力的なトーナメントを運営していきます!!

 

 (report:小野田賢一) 
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