2011 第2戦「SUZUKI MARINEカップ」 大会結果

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第2戦 STORY

本当にアツイ!! HOT第2戦SUZUKI MARINE cup !!  スズキマリン

 HOT開幕戦から1ヶ月、状況が大きく変わった浜名湖でHOT第2戦が開催された。台風5号の影響が心配されたが運良く浜名湖は比較的穏やかな状況。いつもならお昼近くに吹く風もそれほど強風ではなく、スタート時には降っていた雨もウエイイン時には晴れわたり真夏の様相。88名のエントリーでHOT第2戦はスタート!!

● 前日までの浜名湖の状況

 浜名湖の状況は開幕戦時よりもサカナが非常に釣りやすい状況となり、水温も前回より10℃ほど上昇し浜名湖中央部では表水温28℃、奥浜名湖シャローでは昼に30℃を越えるなど低水温で苦しんだ1ヶ月前がウソのような激変ぶりであった。

 そして今回キーとなったのはマゴチ。開幕戦ウイナーの前原選手が使用していたワインドが爆発的な結果を出し続けていたここ1ヶ月、あいかわらずシブいシーバスを尻目にプリプラでは3本のマゴチで6kgオーバーはもはや難しい話ではなくなっていた。それほど今年はマゴチが多く、プリスポーンのビッグママが多数キャッチされていた。こうなってくるとマゴチは絶対に無視できないメインターゲットとなり各選手の戦略にも強い影響を及ぼす存在となるのは間違いない状況となった。

 しかし、この時点(第2戦2週間前~1週間前)でのマゴチはプリスポーン(プリスポーンとは抱卵している産卵前の状態のこと)状態で、この先を読めるかどうかがマゴチ狙いをする上での最重要ファクターとなったことに気付いた選手はごく僅かであった。筆者である自分もウエイインされるマゴチを見て初めて確信したが、時すでに遅し…。

 第2戦のキーはマゴチの「スポーニング」(産卵)であった。

 

● 激変する天候 長潮という変則タイド

 第2戦は7時すぎにフライト開始。小雨は降っていたものの風は弱く絶好のローライトコンディションとなった。この日は長潮ということでダラダラと中途半端なカレントに苦戦を強いられることは予想できたが、ちょうど浜名湖シーバスには有利な「下げ」のタイミングでトーナメントが行われたため、このタイドと天候を味方につけた数名の選手はグッドサイズのシーバスを早い時間にキャッチしていた。

 

● 第2戦ビッグフィッシュは70アップ!3,800gのシーバス!!

 スタート後1時間が経過したところでビッグサイズのシーバスをバイトに持ち込んだのは4位入賞の大竹選手。2番筋のウイードが絡むゆるやかなシャローブレイクをZip Baits ザブラ・システムミノー9Fタイダル SSOカラーで攻めていると突然のBIGバイト!激しい抵抗にボートのまわりを2周もしてファイトしたというカイジュウは70アップ、3,800gのキッカーフィッシュ!!なんとこの1本のみのウエイインで堂々の4位入賞!しかも今年からHOTに参戦、ボートが無いので乗せてくれる方募集中という大竹さん。何が起こるかわからないのもまた浜名湖。誰でも上位入賞のチャンスはあると証明していただきました!

 

● 大本命マゴチは?

 さてさて、おそらく今回参加選手の8割以上が狙ったと思われる大本命のマゴチ。そのマゴチですが2つの落とし穴があったことに気付いた選手はどれくらいいたでしょう?

 開幕戦からの1ヶ月間、ワインドをメインにテキサス、テールスピンなどフォールアクションができるルアー全般で激釣れとなったマゴチ。想像以上の魚影の濃さに必然的にエリアもアバウトで十分結果が出るということで本当に爆発的人気の釣りとなりました。

 しかしこれだけ釣れているマゴチに実は大きな落とし穴が2つ・・・。ひとつは気付いている選手も多かった「バイトが出やすい時間帯」という落とし穴。実は朝イチの6時台が最もマゴチが口を使う時間帯ということで、しかしながらHOTのスタートは7時すぎ。いかにひと段落した状態、もしくはそれ以降の時間でバイトチャンスをモノにするかが焦点となっていた。

 そしてもうひとつの落とし穴は「スポーニング」。HOT第2戦数日前の釣れている段階ではおそらくお腹がパンパンになったマゴチを釣った方も多いはず。これは産卵前の体力をつけようとするマゴチが荒食いをしたのか、産卵前の攻撃的な一面がそうさせたのか定かではないが、明らかに釣れる個体の『メス率』が圧倒的に高く、サイズも60センチ近いのは当たり前、60アップは全然珍しくないという状態。この時、どのような状況にマゴチがあったのかというと間違いなく「プリ」スポーンの個体が大部分を占めていたのだ。

● スポーニングの基本的知識

  バスフィッシングをやったことがない方には理解し辛いことかもしれませんので少し説明を。サカナには様々な種類、様々な卵の産み方が存在します。産卵のことをアングラーは「スポーニング」と呼び、産卵前の状態を「プリスポーン」、産卵後の状態を「アフタースポーン」と呼びます。ブラックバスで説明すると、バスの産卵期は春で、水温が15℃くらいになるとスポーニングが始まります。春のトーナメントでは「プリ」のメスを狙うのが最もウエイトが出るため、産卵前のメスがいるエリアを狙います。バスの場合はオスとメスが1対1でペアリングし、日光が当たる浅い場所に産卵床(スポーニングベッド)をオスが作り、大潮まわりのタイミングでメスが入りそのベッドで産卵をします。その後は孵化するまでオスがベッドを守り、稚魚になるまで面倒を見ますが、メスは体力を回復させるためベッド周辺の障害物周りで動きの遅いエサを食べ回復を計ります。これが「アフター」の状態。

  一般的には「プリ」では栄養を摂取して、来る産卵に備えるのでよく食べるためルアーへの反応も良いですが、いったん産卵行動を起こすと食べるのそっちのけで産卵第一となります。しかしながらバスの場合は見えているところにいるのでルアーでちょっかい出すと攻撃の意味で口を使うので釣ることはできます。これには賛否両論ありますが…。そして「アフター」状態になると体力が落ちているため特にメスは動きの早いルアーに反応できず、上から落ちてくる動きや、エビ系などの比較的動きの鈍いものを好んで食べるようになり、時間とともに回復しスポーン後の回復系パターンに移行していきます。

● マゴチのスポーニングとHOTでのタイミング

 非常に前置きが長くなりましたが…これが今回の浜名湖の中ではマゴチに起こっていたのです!!とは言っても、バスもそうですが、水温が適温になれば全部が同時にスポーンに入るわけではありません。中には何度かにわけて産卵するメスもいます。ようするに、HOT前6月10日前後はほとんどのマゴチが「プリ」の状態にあったワケです!だから釣れた。この時の表水温23~25℃。特に12日は爆発的に釣れていて、この日は釣れるマゴチがほとんど抱卵している状態、そしてその後釣れる日とあまり釣れない日が交互に経過しながら徐々に卵でパンパンに腹が膨らんでいるメスが少なくなっていったことに私自身もHOT終了後に気付きました・・・。まさにその釣れない日こそ、多くのマゴチが産卵行動に没頭していたためルアーに反応しなかった日なのであります!HOT当日も12日などに比べればかなり釣れない状況となっていたので、おそらく「スポーン中」か、「アフター」が増えたことによる反応できない個体が多くなってしまったと考えられます。

 HOT前、最後に爆発したのが22日、ここがほぼ最後の「プリ」状態のメスが多かった日でこの後は釣れるサイズが下がってオスが釣れるか、もしくは早めに「アフター」となり回復しきったメスが釣れるようになったのです!それを証拠にHOTのウエイインでは40センチ未満のマゴチも目立ち、60センチクラスも「プリ」状態はほとんど見ませんでした。

 で、せっかくなので筆者、マゴチについていろいろ調べました。そして、驚愕の事実発見!

 なんとまずひとつ目は、マゴチは性転換する魚だったのです。クロダイは有名ですが、マゴチも35センチくらいまでがオスで、40センチ以上になるとメスに性転換するということで、これでかなり今までの説明が理論付けられますね!ようするに釣れてた状況ではサイズも良かったのでほとんどがメス、対して釣れなくなってきたHOT当日近辺では今まで見なかった小さいサイズが釣れ出して…コレがオス。ということです。

● 衝撃のマゴチ産卵行動を動画でチェック!

 そしてマゴチはどうやって産卵するのか?これも発見しました。動画がありますのでご覧ください。→【衝撃です】。

 水中ではこんなふうになっていたのです。もうこうなってしまうとルアーにはおそらく反応しないでしょう。動物にとって種の保存は食べる事よりも何よりも大事なイベントですから…。同じサイトにシーバスの産卵もありますので参考にしてください。

 バスのようにスポーニングベッドは作らず、浮遊卵でしたね~。これはシーバスもクロダイも同じです。

 ということで、HOT当日は正直マゴチが簡単に釣れる状況ではなく、数少ない「プリ」のマゴチを探すか、「アフター」からさらに時間が経過した「回復」を見つけるか、この2つの種類のマゴチを探せるかどうかがキーとなったワケです。産卵の動画にもありましたが、マゴチは単体ではなく、同じ状態の個体が数尾群れていることが多いため、マゴチでリミットメイクし上位入賞した2位の鈴木選手と3位の内山選手はごく狭いスポットから複数のマゴチをキャッチしていました。このスポーニングを理解することでバラバラになったパズルがキレイに完成した、という感覚になるのではないでしょうか。

● HOT史上最高のウエイイン率

 釣れていたHOT前に比べるとマゴチの釣果は落ちたものの、やはり魚影は濃く終わってみればHOT史上最高のウエイイン率46.6%を記録!!その中でも最年少でHOTに参戦している小学2年生の山田選手が見事にマゴチ2本をウエイイン!前日にお父さんから教えてもらったワインドで結果を出すあたり…オオモノの予感!

 そしてウエイインは進み数は釣れているものの、やはり「アフター」のマゴチとオスのマゴチが多いので、マゴチ3本でリミットメイクしてもウエイトが伸び悩む選手が続出。予想では3本で6kg釣ってくる選手が数名いると見込んで、勝つなら7kgか?とささやかれていたもののフタを開ければマゴチ3本での最高ウエイトは準優勝の鈴木選手。ナイスサイズのマゴチでリミットメイクに成功したものの5kgに届かず万事休す。おそらく「プリ」状態であれば5kgはいったと思われる個体だったが…。

● 絶対王者のリベンジ

 今回も最後にウエイイン会場に登場したのは前回準優勝でマゴチに苦い経験をさせられた黒田選手。第2戦のウエイインはグッドサイズのシーバス2本に50アップのクロダイ1本!!このクロダイは浜名湖MAXサイズでは?と思わせるほどの迫力!ウエイトは唯一の5kgオーバーを叩き出し、2位に1kg以上の差をつけての完全勝利で幕を閉じた。完璧なるリベンジストーリーを自分自身で完結させた黒田選手。もはやHOTの絶対王者と言っても誰も文句は言わないだろう。

 さあHOT2011も半分の日程を消化。残り2戦で黒田選手に勝てるアングラーは出てくるのか?

 第3戦Megabass cupは9月11日開催予定です!!

● 上位入賞者のパターン

 今回もアツイ戦いとなったHOT第2戦。上位5名の結果とパターンは以下の通り。原稿作成にご協力いただきありがとうございました。

 

優勝 黒田健史選手

 優勝はナイスサイズのシーバス2本にビッグサイズのクロダイ1本をキャッチして唯一の5kgオーバーをスコアメイクした黒田選手。ウエイトが出るマゴチを狙うか相当悩んだようだが結局自分のスタイルを大切にし、信じ切れるエリアとタックルで勝負することに決定したという。エリアは南エリアの1番筋周辺。開幕戦は杭にコンタクトさせて釣ったが、第2戦のキーは「岩」。そしてルアーはメガバス・X-80BEAT。シーバスはGGボラ、クロダイはアカハライワシでヒット。偶然ではなくカラーで釣れるターゲットが違うということで、詳細は黒田選手のブログにて要チェック!開幕戦に続き完全ドキュメント動画も公開されるのでぜひご覧ください。 『僕達。』の革命日記~浜名湖編~ →【詳細レポートはコチラ】

準優勝 鈴木唯郎選手

 準優勝はビッグサイズのマゴチでリミットメイクに成功した鈴木唯郎選手。同選手は1週間前、「ワインドを自分の引き出しのひとつに加えたい」ということでボートクラブカナル・フィッシングチャーターズをご利用いただいた経緯があり、さっそくやってくれました!!エリアとワインドについて筆者のすべてをお教えしましたが、ガイド当日はおそらくスポーニング真っ只中。まったく反応せずに鈴木選手はマゴチノーフィッシュ。それでも何かを掴んでいただいたようで、それを自分なりにアレンジしエリアもガイド時とは違うエリアで結果を出すあたり、サスガです!!エリアは女ヶ浦沖周辺、使用ルアーはZZHead5/8oz+マナティー90ハゼカラー。 →【詳細レポートはコチラ】

第3位 内山徹選手

 第3位は同じくマゴチでリミットメイクし4kgオーバーをウエイインした内山徹選手。準優勝の鈴木選手のエリアはみんながやっている41番ポール南西側からさらにさらに南西の端、そして内山選手が釣ったエリアは41番ポールから北東のさらにさらに北東の舘山寺よりのエリア。狭いスポットでバイトが集中したそうです。使用ルアーはZZHead5/8oz 3/8oz+マナティ90 →【詳細レポートはコチラ】

第4位 大竹早人選手

 第4位は本文でもお伝えしたキッカーシーバス1本で3800g(瀕死だったため-100g)を叩き出した大竹選手。少ないチャンスをキッチリモノにしたということで、普段でもなかなか釣れないサイズをHOTでキャッチするって・・・気持ちいいでしょうね~!ヒットルアーはZip Baits ザブラ・システムミノー9Fタイダル SSOカラー →【詳細レポートはコチラ】

第5位 伊藤克洋選手

 第5位はシーバス2本をウエイインした伊藤克洋選手。2番筋の小島付近をバスデイ・レンジバイブ55ESで攻めて結果を出した。ルアーのカラーがミックオリジナルということで見せていただきたかったのですが、残念ながらロストということで、画像が手に入ったら紹介します!

● チアリーディングチーム MIPPERS

 第2戦のウエイイン終了後、表彰式までの集計中の時間にチアリーディングチーム「MIPPERS」が華麗なチアリーディングを披露してくださいました!! HOT会場がさらに熱気に包まれ盛り上がりも最高潮!!

 さて、今回はホント釣れましたね~!とりあえずのこの内容ですが、これから参加者のみなさんにご協力いただきHP上で様々なデータを発表していきたいと考えています。次回のHOTまで約2ヶ月半ということで、その間、このHOT公式サイトを徐々に充実させていきますのでぜひぜひご覧くださいね!
(report:小野田賢一)

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