第3戦YAMAHA & Megabass CUP 結果
YAMAHA & Megabass Cup CONTENTS | STORY | PATTERN | 3rd STAGE RANKING |
HOT2013第3戦!
HOT 2013 第3戦YAMAHA & Megabass Cup
今年も例年通り猛暑となった夏が過ぎ去り、秋の気配が漂い始めた浜名湖で後半戦の開幕となるHOT第3戦YAMAHA & Megabass cupが開催された。今回ほどここ数年浜名湖を席巻していたボトムワインドのパターンが崩れたHOTも無かったのではないか、と思うほど非常にレアな展開となった。
● 今回の冠スポンサーは『YAMAHA』 & 『Megabass』
ボートフィッシングを経験するアングラーであれば、いや必ずしもそうではなくても誰もが知っている『YAMAHA』。正確にはマリン製品を製造しているのは「ヤマハ発動機株式会社」であるが、HOTが開催される浜名湖はまさにYAMAHAの御膝元、昭和30年に現浜松市浜北区で設立された。YAMAHAの船外機は世界シェアで約4割(台数ベース、同社推定)を占め、今年ついに業界初となる船外機累計生産台数1000万台を突破した。
そしてこちらもアングラーで知らぬ者はいない、とあえて断言させていただく。浜松が世界に誇るルアーメーカー『Megabass』。もはや説明不要の同社だが、現在世界15ヶ国以上に拠点を持ちワールドクラスのメイドインジャパンを世界中のアングラーに届け続けている。今回のHOT後に発売となった「CUT VIB」をひと足先に実戦へ持ち込んだ参加者は早速この新製品で結果を出している。
● 前日までの浜名湖の状況
HOT第3戦1週間前のプリプラクティス、選手は様々な思いを胸に初秋の浜名湖を相手にあらゆる可能性を探っていた。キビレのポッパーパターンは終息し、ボトムワインドでもイマイチ。マゴチは浜名湖沖では釣れているものの湖内では小型が多い。そしてシーバスは相変わらず南エリアのパターンを追うにはリスクが伴うが、今年の秋は数年ぶりに奥浜名湖でのオープンウォーターが復調し始めていた。
その中でも特筆すべき結果を叩き出していたのが今回準優勝の内山選手である。もともと奥浜名湖のシーバスには自信を持っている同選手だが、プラクティス終了後にニコニコで「1ヶ所で数十本!!」とボートクラブカナルのクラブハウスで『結果報告』。みんなに根掘り葉掘り聞かれてエリアも「ホンダ前」と言ってしまうあたりが内山選手の人柄を物語っている(笑)。本来であればトーナメンターは決して本番まで結果を語らないばかりか、他選手との駆け引きの中でプラクティスを行ったり情報交換をするのがセオリーであるが、確かにプロトーナメントではないHOTではこういった和気あいあいとした雰囲気が保てているのもひとつイイところなのかもしれない。
そして前日プラクティスまでずっと天候が安定していたため状況はほとんど変わらずプリプラクティスのパターンがそのまま本番で生きるカタチとなったのである。しかし、それを生かすも殺すも選手次第。これぞトーナメントという状況に陥った当日の状況が非常に面白く、また上位入賞者それぞれの「パターンの生かし方」がとても興味深かった。
● 当日の状況
HOT第3戦、天候は安定した晴れで朝はほぼ無風。シャツ1枚では肌寒いくらいであったが日中は汗ばむ陽気。珍しく終日風も強くは吹かずに釣りそのもののしやすさはあったが、天候の変化による魚のコンディション変化は期待できない状況であった。さらに当日は長潮というロータイドで、浜名湖を釣る上では最強クラスに手強い条件が揃っていたのだ。スタートから9時半前後まではタラタラと緩い下げ潮、そこから10時以降はこれまた緩い上げ潮に変わるというつかみどころのないタイドグラフ。特にタイドの影響を強く受ける南エリアを攻める選手にとっては、わかってはいるがどうしようもないこの状況を打開すべく様々な工夫でトーナメントを戦うことになる。
● 別れた戦略
当日の受付は83名でボート数は約60艇。それぞれのプランを脳裏に描きながらスタートとなる。奥浜名湖でイージーに釣れているシーバスを狙うボートが大半を占める中、数艇がボトム狙い、そして残りの約10艇が南エリアのビッグシーバスを狙い勝負に出る。ここ数年ボトムワインドの爆発的流行と、安定した結果でHOT参加者になくてはならないテクニックとなったが、今回はあまりにもシーバスが絶好調なのと、キビレ&マゴチの反応がイマイチであったため大半の選手がシーバス狙いとなった。
● 誤算の南エリア
実は前日プラクティスで南エリアにて強烈な結果が出ていたのも事実。70cmクラスで簡単にリミットメイクしていた選手が存在する。しかし同選手はHOT当日に地元の草刈があるということで不参戦。しかしながら前日に同じエリアに居合わせた選手もいたことからそのエリア(A航路)は朝から大混雑となった。狙うは9時半までの下げということはバッティングした全選手の頭にあったことで、スタート直後から前日に反応があったピンスポットにはすべてボートがキレイにポジショニングしているという展開。いつもクジ運が悪い筆者は遅れてA航路に辿り着くとすでに撃つべきスポットは空いていなかった。
しかしこのボートポジションとボート数がエリアのキャパシティを明らかに超えたため、イッキにプレッシャーがかかってしまったのが南エリアを戦略に組んだ選手の誤算だったに違いない。南エリアは承知の通り水深が極端に浅い。そこに存在するシーバスもフィーディングに来るコンディションの良い個体がほとんどで、普段は航路を引っ切り無しに走る漁船やプレジャーボートによりフィッシングプレッシャーがかき消されるのだが、今回に限っては朝イチから狭いエリアに多くのボートがステイし攻めまくったため、シャローのシーバスが極端に沈黙してしまったのだ。
● 南エリアの上げ潮
そんな南エリアであったため、筆者がヒットシーンを目撃したのは黒田選手の1本のみ。得意のピンスポットから絞り出していたのでコレはヤバい…と相当焦ったが、下げのA航路では前述のプレッシャーで沈黙していたので他選手が移動するまで気長に待つことにした。そして選手が散った下げ止まりに再びA航路に入り直し、上げに変わった瞬間を逃さずピンスポットを迎撃。ほんの10分くらいであったがどこからともなくシーバスが複数湧いてきて何度もチェイスを確認したものの、粘りに粘ってやっと1本をキャッチするのが限界。それでも単体で2,600gという魚体は紛れもない狙い通りのクォリティフィッシュである。
今回の南エリアはプレッシャーとフィーディングタイムの短さに悩まされ、結果的には南エリアをセレクトした選手全員が『誤算』だったと言わざるを得ない状況となった。
● 対照的な奥浜名湖
そしてプレッシャーで潰れている南エリアを尻目に調子が良かったのが奥浜名湖エリア。各キースポットをはじめ広い範囲でシーバスが確認でき、比較的イージーにキャッチ可能となっていたがサイズは選べずに15cmほどのミニマムサイズから70UPまでが入り混じる展開となった。ただ、やはりここでもプレッシャーは無視できないファクターで、ボートの多いスポットでは極端に反応が悪かったという。
さらに朝イチよりも上げに変わった10時前後以降が最も反応が良かったということも複数の選手が語っていた。
● 激戦区のウイニングエリア
HOT第3戦のウイニングエリア、というか表彰台ほとんどを独占したエリアが通称ホンダ前である。HOTの歴史でおそらく最も多くの上位入賞者を出している同エリアは、数もサイズも期待できる浜名湖の一級エリアであるが、今回はそれに加えて激戦区となっていた。
いつもは上位入賞者が出る場合でもそれほど激戦区となることは少なく、どちらかと言えばひたすら粘っているとデカいのが出る、そしてギリギリ3本揃う、というのがHOT史上では多かった。もちろんHOTの日程以外のところでは大爆発していたこともあるが、今回のように爆発している時にHOTが開催されたのは初である。
この激戦区と化したホンダ前で差をつけるには当然それなりの読みが必要で、少なくとも表彰台メンバーはそれぞれ「キモ」を把握していたのである。
● 激戦区で釣り勝つ
今回はターゲットがシーバスということで、実はこの魚だからこそ、という見方もできなくはない。ここ数年HOTの定番となっていたボトムワインド。この釣りのターゲットはマゴチとキビレである。この2種に関しては比較的ボートプレッシャーやフィッシングプレッシャーに強いと筆者は考えている。その証拠にマゴチは複数でかたまっているエリア、キビレは複数で回遊している状況、このどちらかに「当たれば」ボートが何艇いようとみんな同じように自分たちだけでなく周りのアングラーも釣れているのがマゴチやキビレの特徴だ。
対してシーバスは比較的プレッシャーに弱く、そのエリアにいても喰わなくなることが多い。またはプレッシャーを避けてシーバスが移動してしまうこともある。コレを完璧に読み切っていたのが今回のウイナーである金谷選手であり、準優勝の内山選手、さらには3位の松田選手であるのだ。
● 表彰台メンバーの最重要ファクター
まず優勝の金谷選手はホンダ前に存在する崩れカキ棚を直接狙うのではなく、ボートがいないカキ棚の沖(南側)約4.5mラインを中心に攻略。入れ替わり立ち替わり攻められている定番の崩れカキ棚周辺をあえて外し、プレッシャーでカキ棚から出ている個体+沖のベイトを追い回遊性の高い個体を狙っていたのだ。その結果は凄まじく、朝のひと流し目で70クラスをキャッチ、事前ウエイインに行き同エリアへ戻るとまたすぐにビッグサイズをキャッチ。バックリとパターンにハマった。
そして準優勝の内山選手もホンダ前の定番エリアから少しだけ外れたエリアをランガンし、アングラーの少ないロープレッシャースポットを意識して攻略。3位の松田選手も同じくホンダ前のみならず細江湖北西部のかなり広範囲にわたってチェックして圧倒的な結果を出している。
共通するのは明らかにプレッシャーを避けた戦略なのだ。南エリアと違い水深が比較的あり、水色もクリアではなくステイン~マッディ。丁寧なアプローチさえすれば反応は得られるという良いお手本のような表彰台メンバーの戦略である。
● 浜名湖最強バイブレーションプラグ
アメリカではリップレスクランクベイトと呼ばれ、シーバスのみならず様々な対象魚に広く有効なハードベイトがバイブレーションプラグである。今回表彰台をほぼ独占と言っていいほど使用率が高かったのがバスデイ・レンジバイブ55ESである。これは今に始まったことではないのだが、本当に良く釣れるバイブレーションプラグであり、確かな実力がHOT参加者から絶大な支持を得ているのは言うまでもなくこうして圧倒的な結果としてもはや疑う余地のない完成されたルアーである。
しかしながらもちろん全ての状況でひとつのルアーだけが釣れるほど甘くはなく、6位入賞を果たした影山選手が使用していたのは冠スポンサーであるMegabassからリリースされた「CUT VIB」であった。HOT開催日はまだこの新製品の発売日前ということで使用できたアングラーは限られていたが、次戦以降このバイブレーションプラグもおそらく結果を出し続けるであろう。
優勝 金谷繁憲選手
優勝はシーバス3本でリミットメイクし圧倒的なスコアとなる6,160gを持ち込んだ金谷選手。前述の通りホンダ前のやや深い4.5mレンジをバスデイ・レンジバイブ55ESとメガバス・X-80+1で攻めて結果を出した。先日進水式を終えたばかりのカロライナスキッフ19DLXの初陣を優勝で飾るというボートにとってはこの上ない華々しいデビュー戦となった。
準優勝 内山和章 選手
準優勝は20本以上キーパーのシーバスをキャッチしたという内山選手。エリアも前述のホンダ前周辺で使用ルアーはバスデイ・レンジバイブ70ESと55ES。同選手はこれまで6位という成績が最高でどうしても表彰台まであと一歩…というところでしたが、2006年から苦節7年!! ついに準優勝!! 本当におめでとうございます。
第3位 松田秀生 選手
第3位は開幕戦を制し、第2戦で3位と今年のHOTを圧倒的な強さで年間ラインキング暫定1位を独走中の松田選手。上位2名と同じくホンダ前のロープレッシャーエリアを見抜きレンジバイブ55ESを駆使して4,720gをスコアメイク。最終戦での表彰台ゲットで全戦5位以内という年間チャンプは生まれるか?? 期待しましょう!!
第4位 金子淳哉 選手
第4位は唯一ホンダ前を攻めなかった金子選手がシーバスでリミットメイクし3,880gをウエイイン。佐久米エリアで小型シーバスを連発しリミットメイク後、同エリアの水深5m付近をレンジバイブ55ESのデッドスローリトリーブで攻めて入れ替え。帰着間際に入ったピンスポットでこの最大となるシーバスをキャッチし入れ替えてフィニッシュとなった。
第5位 山嵜文敬 選手
第5位は3位入賞の松田選手と同船の山嵜選手。前述したエリアと攻め方で3,435gをスコアメイクし表彰台へ滑り込んだ。