第3戦 Megabass & YAMAHA CUP 結果

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 今年も早いもので折り返し地点通過となる第3戦。前回の真夏の浜名湖から一転秋めいた気候が続いたと思いきや秋雨前線が停滞しHOT前日まで長雨が続くというコンディションとなった。

 今回は山田賢治選手のご協力で最もHOTに近いトーナメント団体『BST』に参戦している大畠選手にもエントリーしていただくことができた。東京湾でのトーナメントをメインに数々の実績を誇る実力者である。もちろんまったく未知の広大なフィールド、浜名湖を前に数日のプラクティスでは魚を見つけるのは至難の技であるため、今回は山田選手と同船していただきHOTを体験してもらうかたちとなった。

 今後も他地域のソルトアングラーや団体との交流を深めることによって、よりHOTが進化できるよう努力したいと改めて思った。筆者の密かな野望としては、ソルトトーナメントの全国シリーズ戦、もしくは複数日トーナメントの開催、である。現実的にはもちろんムリなのは承知だが、開幕戦:東京湾、第2戦:宍道湖、第3戦:大阪湾、最終戦:浜名湖。考えただけでワクワクが止まらず楽しそうである。

 実現可能なものとしては2DaysのHOTであり、これは必ずいつかやってみたい。HOTのようなアマチュアトーナメントや一般的な釣り大会はその日の結果だけで勝負が決まる。専らHOTに関して言えば年間シリーズ戦となっているので、やはり本当に強いアングラーしか年間チャンプになることはできないのだが、「ワンデイ」のトーナメントはどうしても少なからず“運”と言う要素に結果が左右されやすい。コレが劇的に面白く、また実力の差が出るのが2Daysトーナメントなのだ。刻々と変わる状況にアジャストし続けることが求められる2日間、1日は運で釣れたとしても2日目に同じ結果が得られるかは非常に微妙であるのはおわかりいただけると思う。

 前振りが長くなってしまったがアツ過ぎたHOT第3戦をレポートしていこう。

 

前日までの様子

 前述した通りHOT第3戦前日までは日照時間が極端に少なく長雨となったことで、浜名湖内でも9月中旬以降パタッと夏の釣りが消滅。それまで好調を維持していたトップでのクロダイ&キビレパターンは完全に終わったのである。そして代わりに晩夏から初秋のシーバスパターンが徐々に確立され、サイズを問わなければとりあえず釣れるといった状況になった。マゴチに関してはほとんど情報がなく、今回はシーバス戦になることを予想したアングラーが大半を占めた。

 

当日のコンディション

 HOT第3戦当日は久しぶりの晴れ。予報では東風がやや強くなるとあったが、実際には南のそよ風程度で終日ほぼ無風の蒸し暑いコンディションとなった。長雨による濁りが入っているエリアも見られたが、どちらかと言うとシトシトと降る雨であったため、各河川は濁流となることはなく、ちょうどいいステイン系の濁りが入る程度でプラスに働く要素として捉えたアングラーは多いはずである。

 そして潮回りはロータイドの長潮。干潮いっぱいが7:17で満潮は14:43であることから、実際には9時過ぎまで下げで、その後帰着時刻までゆるい上げというデイゲームの浜名湖にはかなり不利な条件が重なった。
 ピーカンまではいかないも晴れ時々薄曇り、風はほぼ無風が続き、タラタラのロータイドというバッドコンディション。そんな釣れる気があまり起こらないような浜名湖へ63名の参加者はスタートしていった。

 

盛り上がるMegabass & YAMAHA CUP

 第3戦の冠スポンサーであるMegabass様より今回はなんと特別に参加者全員にX-80jr.BEAT(発売前のプロトタイプ)が受付時に配布され、さらには超お得なガラポンゲームを用意していただいたりと朝から会場は大盛り上がり!!  YAMAHA様からもオーディオシステムをご提供いただき表彰式後のジャンケン大会でそれはそれはアツイバトルが繰り広げられたのである。
 豪華賞品を用意してくださったすべてのスポンサー企業様、本当にありがとうございます!!

 

予想をはるかに超えた大爆発

 今回は前情報からサイズは選べないもののグッドサイズのシーバスがたまに混じるという内山海岸北側〜舘山寺沖にかけてのエリアに最もボートが集中した 筆者のボートはテレビ静岡「てっぺん静岡」の撮影艇も兼ねていたので、取材を進めながら全員がスタートした後にその大人気エリアに入るとすでに10艇近いボートがひしめき合い、連発させている光景が広がっていた。

 

 ここ数年、このようなオープンエリアでシーバスが釣れるのは年に数日のみ、というレベルで7〜8年前に8月下旬から決まって始まったシーバス祭りはほぼ無い状況が続いていた。仮にシーバス祭りがあっても、これまでのHOTの歴史では今回ほど強烈にオープンエリアが爆発したことはなく、決まって絶好調だったエリアはHOTになると沈黙しており、何度も裏切られた経験がある参加者は多いのではないだろうか。
 しかし、今回は前述の通りのバッドコンディションにもかかわらずスタート直後から潮止まりとなる9時過ぎまで怒涛のラッシュが続いたのである。

 

まさかのHOTレコードウエイト…まさかの柴田昌宏。

 今回トップウエイトを持ち込んだのは他でもない、筆者の私…ではなく、私のバッグシートでキャストしていた同船者、柴田昌宏 選手である。HOT主催者としてここ数年は選手としてではなく、運営に尽力してきたが今回は縁あってテレビ静岡でHOTを紹介していただけることとなり、それならば選手として出場しなきゃ、ということで参戦となったのである。
 そして私のバッグシートで釣りまくり、8,940gという驚愕のHOTレコードを叩き出したのだ。

 

 エリアは内山海岸北側にある巨大ブレイクのショルダー付近で使用ルアーはバスデイ・レンジバイブ70S(HA361クリアーアワビイワシ)。約20本のシーバスをキャッチし、60アップだけでもおそらく7〜8本、最後にキャッチした65cmクラスでさえついには入れ替えできないウエイトまで達し、正直私は戦意喪失寸前。2本の75cmクラスに、もう1本70アップがヒットしたのだが、惜しくもバラしてしまい夢の10kgオーバーはならなかったが完全なるスーパーウエイトで黒田選手が持っていたHOTレコードを塗り替えたのである。

 

 準優勝は5,990g(シーバス×3)を持ち込んだ高橋弘光 選手
 優勝の柴田選手と同エリアでレンジバイブ55ESを使いウエイトアップに成功。キーパーを20本ほどキャッチして入れ替えを繰り返した。

 第3位は5,360g(シーバス×3)を持ち込んだHOT初参戦の矢田晃久 選手
 エリアは同じく内山海岸北で、使ったルアーはシマノ・TGサルベージ18g。キャッチした本数は他の選手に比べ少なかったものの、グッドサイズで揃えてウエイイン。また、同船の川村わかみ選手が1本ながら2,770gというビッグシーバスをキャッチし会場をわかせた。

 

 第4位は5,320g(シーバス×3)をウエイインの筆者、小野田賢一 選手
 優勝した柴田選手とボート上で大バトルを展開したがどうしてもキッカーが入らず5度以上の細かい入れ替えを行いウエイトアップするも完敗。メガバス・X-80BEAT(Mキンクロ)でリミットメイクし、バスデイ・レンジバイブ70ES(HH-14ハイトホロアカキン)、O.S.P.・ルドラ130S(HS86コノシロ)をローテーションさせ約20本のキーパーをキャッチした。

 第5位は東京から参戦の大畠 拓 選手が5,250g(シーバス×3)をウエイイン。
 7位の山田賢治選手と同船し、猪鼻湖の水中岬先端付近をメタルバイブと8cmシンキングミノー、10cmフローティングミノーを使い分けスコアメイク。東京湾スタイルを見事に浜名湖でハメて表彰台へ滑り込んだ。

 

驚愕のハイウエイト戦

 HOT第3戦で注目すべきはもちろんHOTレコードの優勝ウエイトであるが、それと同等に参加者を驚かせたのが入賞圏内のアベレージウエイトだろう。いつものHOTであれば春の大会など、ローウエイトの状況での優勝が2kg後半から3kgちょっと。前回のようにそこそこ色々な魚種が釣れて1本グッドサイズのシーバスをミックスバッグできれば4〜5kg、シーバスのハイウエイト戦であっても5kgあれば優勝に絡むという感じである。
 それが今回はどうか?なんと6位の黒崎選手のウエイトは5,090gであり、いつもなら優勝ウエイトでもおかしくないビッグウエイトが事もあろうに表彰台にすら上がれないという緊急事態!! さらに12位の金谷選手までが4kgオーバーのウエイトを叩き出しており、普通であれば楽勝で表彰台ゲットのハズが今回は「普通よりちょっと良いウエイト…」という恐ろしい状況となったのだ。

 

 「コレはイッただろ」、「もしかして表彰台、あわよくば優勝かも」と思った参加者が今回ほど多かったHOTはこれまで無かったであろう。良い意味でこれもトーナメントの面白さ、そして奥深さであり、上には上がいるという良い経験としていただき次からのトーナメントに生かしてもらいたい。
 今回のHOTは優勝ウエイトの予想精度がひとつの勝負の分かれ目になったと思う。プラクティスを通して当日の状況を踏まえ、どのくらい釣ったら完全に優勝なのか? それを正しく判断することが非常に重要であった。正直、今回のハイウエイトは過去に黒田選手や堀選手、山田選手が叩き出してきたウエイトの「質」とは完全に違うものである。どういうことかと言うと、この3者のウエイトは決して他の選手が3本釣れない自分だけの魚、自分だけのウエイトであること。対して今回は同じエリアに多くのコンテンダーが集まり、誰でも同じようなウエイトがキャッチ可能だった、ということ。この事実にいち早く気付けるかどうかがひとつの大切なファクターであったのだ。

 

 だからこそ、少ないながら複数本キャッチ可能であった60cm前後の魚はただのリミットを揃えるためのあくまで「キーパー」であったのだ。今回の「キッカー」は70アップであり、コレを入れない限り勝てない、ということがトーナメント中に理解出来ていたかどうかが勝負の分かれ目であった。事実、いつもに比べたらイージーにキャッチできてしまった60アップはさておき、1本目の75アップをキャッチした柴田選手へ表彰台確定通告をし、もう1本の70アップをキャッチした時点で優勝確定を通告、最後に最小サイズが65cmクラスに入れ替わった11時50分にHOTレコード宣告をした筆者の予想はことごとく、悔しいながら当たってしまったのである。

 トーナメントは、その日の状況と他のコンテンダーの動きをいかに正確に捉えた上で魚をキャッチしていくかが重要である。私はバスプロ時代に嫌という程今回のような状況に遭遇してきたが、とても良い勉強になったので、ぜひ今回参加した選手の皆さんには今後のトーナメントの経験値としてプラスの財産にしてほしいと思う。

 

データが示す見える『ジアイ』

 というわけで、優勝は前述した通り8,940g(シーバス×3)のHOTレコードウエイトを叩き出し、準優勝の高橋選手に3kg近い差をつけてのブッチギリ勝利の柴田選手。しかし、その優勝ウエイトだけでなく、今回は88本もの魚がウエイインされており、釣れた「時間」のデータ化こそ今後アングラーにとって非常に貴重なデータとなるわけである。今回は『水深のあるオープンエリア』ということもあり、いつものシャローの地形変化やストラクチャーに着く種類のフィーディングフィッシュとは少し違う種類の魚だと考えて差し支えないだろう。
 以下のデータは今回HOTでウエイインされた魚のヒットタイムデータだ。毎回思うが、コレは同時刻に同エリアで大人数によって釣りをしなければ絶対にわからない貴重なデータである。

シーバス クロダイ キビレ マゴチ ヒラメ
~7:30 8       1
~8:00 10        
~8:30 7        
~9:00 7        
~9:30 0        
~10:00 9     1  
~10:30 4        
~11:00 11 2 1    
~11:30 8     1 1
~12:00 10 1      
~12:30 3        
~13:00          

 

 第3戦は一目瞭然のシーバス戦となったが、明らかに釣れない時間帯が1ヶ所だけあることはすぐにお気付きであろう。これだけの爆発的釣果であっても9時からの約30分間はまったくシーバスが口を使わなかった事実が浮き彫りとなった。

 この30分は一体何が起きたのか推測すると、まず明らかな原因はタイドグラフにある。HOT当日の潮止まりは7:17であるが、実際には約2時間遅れることが知られている。そう、ロータイドの潮止まりは完全に止まっている時間がハイタイドより若干長い(正確には止まる直前と動き出しのテンポが遅い)ので、必然的にカレントが無くなる時間が長くなる。さらに今回は釣れているエリアが南エリアではなく最も浜名湖で両岸の距離が離れているエリアであり、水深もあることから地形的にもカレントは発生しにくいエリアであることもさらにこの時間を長くする要因であろう。さらにさらに、当日の天候が晴れであり、この時間はほぼ無風であったことから風によるカレントも発生していないと推測でき、完全に捕食モードは休止状態に陥ったと考えられる。

 

 こういった事象を正確に判断することで、トーナメントの「勝ち」を手繰り寄せることが可能となるのだ。例えば、正解のエリアで8時前後の明らかな『ジアイ』を逃さずキーパーをキャッチし、9時過ぎの沈黙でガマンできずに移動。動いた先は不正解エリア…。コレではせっかくの勝ちパターンが崩壊である。しっかりと潮止まりの沈黙タイムを冷静に先読みし、トーナメント中であっても的確に判断することでさらなるスコアメイクが10時前後から可能となりキッカーフィッシュが入る可能性もグンとアップするのである。特に今回のようなオープンエリア回遊型のシーバスは、こういった明らかな『ジアイ』が存在する傾向が強く、さらに無風に近いコンディションだったこともタイドグラフに動きが支配された大きな要因となったのは疑いようのない事実であろう。

 

奥浜名湖におけるその他エリアの状況

 HOT第3戦では表彰台の4人が内山海岸北側のブレイク付近をメインエリアとしていたが、もちろんその他のエリアでも爆発的に釣れていた。
 まず、前述の5位大畠選手と7位山田選手が攻めたのが猪鼻湖の北から南に伸びる水中岬の先端付近。ここはグーグルの航空写真で見ればすぐにわかる非常に魅力的な地形変化であるが、たまにシーバスが大爆発するピンスポットが存在し、それが当日はハマッており両名とも5kg前後のハイウエイトをマーク。

 

 6位の黒崎選手と8位の北川選手はともに都筑海岸周辺を選択しており、ここも昔からオープンエリアのシーバスを狙う上で大定番の場所である。例外なくHOT当日も釣れており、キッカーが1本でも入れば優勝を狙えるウエイトを叩き出している。
 さらに興味深いのが9位の白井選手と10位の加藤選手であり、ともにホンダ前をセレクトし、ともに2本のシーバスをウエイインしている。特筆すべきはそのシーバスのサイズであり、両名とも2本ながら4,500g前後のウエイトということで明らかに他のエリアよりもサイズがデカイ。もう1本あれば確実に表彰台…だっただけに非常に惜しい!!  そしてそのヒットタイムもまた偶然ではない『ジアイ』を逃さずにヒットさせていると思われる。白井選手と加藤選手でキャッチしたシーバス4本はすべて11時から12時までのたった1時間の間に集中しているのだ。これを読み切って他のエリアと合わせて戦略的に釣ることができれば、それこそが真の「トーナメントフィッシング」である。内山海岸北側で60cm前後のキーパーでリミットメイクし、11時からホンダ前で2kgオーバーを狙い入れ替え…コレが今回の理想形か…。

 

 余談であるが、筆者の私と優勝の柴田選手は2人で前日のドシャ降りの雨の中ホンダ前からプリンス岬にかけての釣り可能な崩れカキ棚をほぼすべて撃った。結果、2時間弱かけてノーバイト。完全に見切る結果に至ったのだが、そのエリアで『ジアイ』を合わせ釣ってくる選手がいたことに脱帽である。もっともホンダ前は浜名湖イチの流入河川+大規模ストラクチャーという絶対に魚をストックする条件がこれでもか、と揃ったエリアであり、ベイトも確認できたことからいないわけがない、とは思ったが結果私たちには釣れなかった…。本当に驚くべき事実であり、トーナメントの楽しさ、奥深さを改めて感じた素晴らしい2選手の釣果だと、個人的に勝手に感動したのである。

 

残すは最終戦!!  年間チャンプの行方は??

 さて、早くもHOT2016も残すは最終戦のみ。熾烈を極める年間チャンプ争いはどうなっていくのか? ここで手元の集計による暫定ランキングトップ10をお伝えしよう。

 暫定1位:山嵜文敬選手 92P
 暫定2位:北川典弘選手 89P
 暫定3位:山田義人選手 88P
 暫定4位:石塚哲史選手 86P
 暫定5位:鈴木孝啓選手 85P
 暫定6位:小野田賢一選手 80P
 暫定7位:山田賢治選手 74P
 暫定8位:石井秀樹選手 72P
 暫定9位:内山徹選手 68P
 暫定10位:吉田則康選手 64P

 ご存知の通り優勝すると40P、30位で11Pなので上位が総崩れすればまだまだ年間チャンプを狙える位置にいる選手は多く、今年の傾向としては毎回コンスタントに釣ってくるのが例年以上に難しい状況と言えるだろう。なぜならトップ10のうち、暫定5位の鈴木選手までの5人と8位の石井選手のみが3戦すべてで30位以内に入っており、それ以外の選手は一度以上5Pをくらっているのだ。今年は限られた数名のチャンプ争いではなく、超混戦の中で最終戦を迎える非常におもしろい展開となったのである。

 

HOTヤングアングラー応援プロジェクトvol.2

 そして第2戦の前に開催して大好評を得たヤングアングラー応援プロジェクト。
 今回は最終戦の1週間前の11月6日に開催いたします!! 要項は前回とほぼ同じかたちでの開催となりますが、詳細はまた後日アップさせていただきます。10代の学生さん、20代の浜名湖初心者さん、30代のこれからボートフィッシング始めようと思ってる方々、そして釣りガールのみなさん、ぜひぜひご参加をお待ちしております! 費用は施設使用料の1,080円のみ! ベテランアングラーがサポートしますので一緒に浜名湖のボートフィッシングを楽しみましょう!

 

 (report:小野田賢一) 
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