第2戦 SUZUKI MARINE CUP 結果
SUZUKI MARINE Cup CONTENTS | STORY | PATTERN | 2nd STAGE RANKING |
HOT2018 第2戦 SUZUKI MARINE CUP
4月に開幕戦を行う予定が荒天により5月にずれ込んだ今年のHOT。いつもはそれぞれのトーナメントが約2ヶ月は間隔が空くようにスケジューリングするのだが、今回は1ヶ月ちょっとしか経過しないうちに第2戦が幕を開けることとなった。この変則的な開催日程となったHOT2018序盤の攻防はH.O.Y(HOT of the YEAR)を目指す参加者全員にとって果たして吉と出たのか凶と出たのか…。今回も詳細をレポートしていこう。
メインスポンサーは『SUZUKI MARINE』様
今回のメインスポンサーは第1回のHOTから全戦においてサポートし続けていただいております『SUZUKI MARINE』様
地元浜松の世界的企業として知らない方はいないスズキ㈱のマリン部門が㈱スズキマリンです。SUZUKI MARINEオリジナルボート「FAVAS」や「X24」など浜名湖&遠州灘で抜群の性能を発揮する商品ラインナップは非常に魅力的!! そして世界に誇る船外機「DF」シリーズに昨年350馬力モデル「DF350AT」が発売となり、今年さらに「DF325AT」が追加となりました。後者のエンジンはレギュラーガソリン仕様となっており、世界での様々な用途に対応します。リーンバーン制御システムによる低燃費性能はもちろん、デュアルルーバーシステムやデュアルプロップシステム等最新の技術を導入。筆者も「DF350AT」を使い実際に釣りをしましたが、奥行きのあるトルクフルな加速とスムーズな伸びはこれまでの4ストローク船外機の概念を打ち破るほど凄まじいインパクトでした。しかしながら、「釣り」カテゴリーでの使用は走行時間よりも実釣時間の方がもちろん長くなります。この国内最大クラスのモンスターエンジンでありながら、その静粛性は普段筆者が使用しているDF115と何ら変わらないのには驚きでした。その時の様子はそらなさゆりちゃんがレポーターとして収録されているスズキマリンチャンネルへGO!!
HOTでも多くの選手がボートにスズキ船外機「DF」シリーズを搭載しておりその実力は説明不要。燃費・静粛性・加速、すべてがハイパフォーマンスであり、2馬力から350馬力まで幅広いラインナップですべてのフィッシングボートに対応します。
前日までの浜名湖
梅雨に入り雨が降る日も確かにあったが、浜名湖全域もしくは部分的にでも壊滅的な濁りが入るような雨は降らず、天候は比較的安定していた。周期的に降る雨がそれほどの量ではなかったことから適度に雨水が入りフィールドコンディションとしては悪くない状態で当日を迎えた。
5月の開幕戦では例年よりも気温、水温ともに低温傾向にあったが、その後は順調に季節が進みクロダイ・キビレのトップパターンが開幕。シーバスも小型ながら数が釣れるようになり、ボトムワインドでのフラット系も好調でこの時期ならではの多彩な攻めが可能な状況となっていた。ただ、1本を釣る難易度はそれほどイージーではなくどの魚種を狙うにしても精度の高い攻めが必要なのもまた事実であった。
当日の状況
当日の天候はスタート前は雨でその後小降りとなり、9時頃からは回復し11時をまわる頃には晴れて汗ばむ陽気となった。風はスタートから晴れるまでほぼ無風から微風といったところであり、完全に晴れてから南西の風が吹いた。
当日のタイドグラフは以下の通り。潮周りは若潮で午前2時37分に満潮で潮位104cm、その後9時44分に干潮で潮位29cm、つまり実際にはスタートから11時半くらいまでは下げとなり正午頃から上げに変わるタイミングであった。
ターゲットを絞れない展開
午前6時半に受付を締め切り、ミーティングでスタート後に進入禁止となるエリアを確認して6時50分よりフライト開始。この時期はすべてのターゲットが優勝に絡む可能性があることから、ある選手は「どれも釣れるけどパターンに決定的な強さがなく的を絞ることができない」と嘆いていた。
事実、いつもなら同じエリアに数艇の参加選手が集まったりとバッティングすることも多いのであるが、今回はそれも少なく各々狙いのターゲットをエリアローテーションしながら攻めている選手が多く見受けられた。さらに、ウエイインではミックスバッグで魚を持ち込む選手が多く、多彩な攻めでゲームを進めた様子を伺い知ることが出来た。
巨大クロダイでの完勝
そんな状況の第2戦であったがウエイインが始まるとその全貌が見えはじめる。数は少ないもののナイスサイズのシーバスをウエイインする選手はリミットメイクには苦労した模様であるが、全体的にローウエイト戦となった今回において2kgに迫る個体を手にした選手はやはり上位へ喰い込んだ。5位入賞の伊藤彰選手と4位入賞の前原裕之選手はともにリミットメイクは叶わなかったもののウエイトを稼げるシーバスとクロダイのミックスバッグであった。
そして、意外にもポストスポーンに入ったであろうこの時期の釣りにくいマゴチをキッチリと釣ってきた選手には脱帽である。しっかりとしたエリアセレクト、そして状況に合わせたボトムワインドのセッティング、一時期のような爆発的な釣果は無くなってきたものの全盛期の釣れ方に近い釣果を出した選手が準優勝の森田耕平選手である。粒ぞろいのキロクラスを3本揃え、マゴチの総キャッチ数は7本というから圧倒的だ。
最後に、クロダイ&キビレ。今回は浜名湖でターゲットになる2大ブリームの中でもクロダイが勝負の明暗を分けることとなった。3位入賞の黒田健史選手と優勝の堀勝次選手はともにクロダイのみでリミットメイクを果たしての3kg超え!! しかも驚愕なのは堀選手が持ち込んだ巨大なクロダイ…。ド迫力の魚体は1本でも凄まじいのに3本揃うとそれはもう圧巻という言葉以外の何物でもない光景。HOT史上初となるクロダイオンリーでの優勝となった!!
選べないクロダイから狙って釣るクロダイへ
浜名湖におけるルアーフィッシングで狙うクロダイとキビレはポッパーを使ったトップウォーターゲームから始まったのは誰もが知るところ。近年ではペンシルで狙うテクニックが拡がりを見せている。過去、同時期にはMリグが流行っており、当然浜名湖でも釣れたが近年これを進化させたシャッディングによる釣りが大流行。今年の開幕戦でもウイニングパターンとなっており、昨年の開幕戦も表彰台パターンとなっている。さらにボトムワインドが爆発的流行になった理由のひとつはマゴチの他にキビレが異常な好反応を示したからとも言える。特にトップに反応しない晩秋から厳冬期、春先にかけてボトムワインドの独壇場になっておりキビレほどではないがクロダイも釣ることができる。昨年の開幕戦では筆者がボトムワインドでクロダイをキャッチし表彰台をゲットしている。
実はここに挙げたパターンはほんの一部で、あくまで「一般的に」知られている釣り方であり、テクニックである。まだ未公開のルアー、釣り方、テクニックは…もちろん、ある。この現在知られているパターンでは、実はどれも狙ってクロダイを釣ることはかなり難易度が高いと言わざるを得ない。やり続けることによってたまたまクロダイが釣れた、もしくは、クロダイが多いエリアを高精度の攻めを貫くことでやっと1本仕留めることができた、というのが本当のところだ。
では、なぜそれほどまでに今回「クロダイ」にこだわっているのか?それはトーナメント的戦略においてウエイト勝負のHOTではより重量のある魚を狙うのが鉄則だからである。根本的にクロダイはキビレよりデカくなるのだ。ルアーで釣れる平均サイズもキビレに比べて圧倒的にクロダイの方が大きくウエイトは重い。キビレより難易度は高くなるがクロダイに狙いを絞れるのならばもちろんその方が「勝ち」に近づくことができるのである。
シークレットエリア・シークレットルアーの公開3連発
ということで、今回優勝した堀選手のパターンは縦ストラクチャーに着くクロダイをハードベイトでリアクション的に口を使わせるというもの。詳細は本人のレポート、そして今回はHOT協賛スポンサーである「ロンジン」さんのスタッフが同船し、動画撮影をしているのでその動画をぜひ見ていただきたい。動画の公開をぜひお楽しみに!!
堀選手が使用したルアーはロンジン・キックビート55(12g)ピンクチャートベリー。エリアは湖南高校北側橋脚である。この橋脚がウイニングエリアどころか、表彰台パターンに絡むのはもちろん初であり、クロダイのみをハードベイトオンリーで完全攻略しての優勝も当然初ということになる。秘密にしておけばもちろん堀選手はもしかしたらずっとここで釣れ続けるかもしれない。でも、HOT参加者の、浜名湖を楽しむすべてのアングラーの、みんなのレベルアップに繋がるのならば…という思いで快く公開していただいた。しかも動画付きで!! 本当に感謝感謝!!
そして、3位の黒田選手も圧巻のパターンで会場の度肝を抜いた。クロダイでのリミットメイクは必然であり、開始1時間もしないうちに20本以上のクロダイとキビレをキャッチしたというから破壊的である。これも本人の詳細原稿やブログでご確認を!!
エリアは庄内湖で縦ストラクチャーに対してジグヘッドのフォーリングというこれまでに誰もHOTでやったことのないパターン。自作のライトウエイトジグヘッドにジャッカル・チヌ蟹をセットしてタイトに撃ち込んでいくというもの。表彰台で黒田選手が言っていた通り、実は筆者も7~8年前にすでにこのパターンをやっていたのだがトップの方が好きだったので断念した…という釣り(笑)。
ちょっとブログを探してみたら…7~8年どころか12年前にやってました(汗)→【12年前の「おのけんぶろぐ」より】
10年前にもコンスタントにやってたのですが結局現在のような状況に当時はまだなってなくて、正直浜名湖のほんの一部でしか釣りをしてなかった時代…。それなりに数年このジグヘッドの釣りをやっていたのですが、当時はポッパーへの反応が尋常ではなくノープレッシャー状態のキビレ&クロダイが入れ食いになることも珍しくなかったためジグヘッドの釣りは頓挫。正直、黒田選手の第一声を聞いた時には鳥肌立ちました。本当にこの現代にマッチした釣りでそれに気付き短時間で極めるところが本当にスゴイ!!公開してくれたことにも感謝です!!
そして最後のシークレット公開
前述したクロダイシークレットパターンは2つ。最後の3つ目は実はシーバスがメインのパターンであり、今回4位入賞の前原選手が公開してくれたシークレット。それはついにというか、絶対にいつかは、と思っていたあのエリアの攻略である。そう、浜名湖南エリアには無数の橋脚があり、それに着いているシーバスを狙うというもの。以前にも2番筋の中之島周辺の橋脚でシーバスをキャッチした選手はいたが、今回前原選手が狙ったのは最も潮当たりが激しい3番筋の橋脚。24V82lb.のエレキでも全開で止まっているのがやっとの状況であることから、これまで難攻不落の超一級エリアとしてその攻略の難しさから選手が敬遠していたのが実情である。
そんなエリアにある橋脚を巧みなボートポジションと、常識とは異なる攻め方で完全攻略しキッカーシーバスとクロダイをキャッチ。そしてキーパーギリギリと思われたシーバスはウエイインで惜しくもノンキーパーの判定。優勝に最も近かった4位の前原選手、詳細レポートは必見です!!
第2戦のパターンまとめ
今回ほど表彰台の5人のパターンがバラバラだったことは過去のHOTを振り返っても記憶がない。広大な浜名湖であってもHOTで勝ちにつながるスポットはほんのわずかであり、その釣り方やタイミングも年々狭くなっている。通常であれば5人のうちの2人ずつくらいが同じパターンで釣っていることが多いのだが、今回については全員がまったく違うエリアでまったく異なるパターンを貫いていた。
優勝の堀勝次選手は湖南高校北側にある橋脚にプラクティスから手ごたえを得て本戦でもキッチリとクロダイオンリーでスコアメイクに成功し、そのウエイトは3,680g!!見えていたパターンをそのまま実践し確実に釣ってきたと思われがちであるが、そんなに甘い浜名湖ではないのは誰もが知っているところ。プラクティスではロンジンの「ウェイキーブー」(137mm・48g)が爆発し、巨大なクロダイがこのビッグミノーにガンガンバイトしてきたという。HOT当日も同ルアーで攻めるがバイトは遠く、小型バイブレーションのロンジン「キックビート」(55mm・12g)に光明を見出したことがすべてであった。
準優勝は初の表彰台となる森田耕平選手。ボトムワインドで女ヶ浦沖を攻め切ってマゴチ3本でリミットメイクし3,410gをウエイイン!!
この時期のマゴチは産卵行動に入る個体が多く、そうなると一向にルアーへ反応しなくなるのだがマゴチが溜まるスポットを読み精度の高いアプロ―チで7本をキャッチすることに成功した。
第3位は前述の攻め方でクロダイ&キビレを25本以上キャッチしたという黒田健史選手。ジグヘッドのフォーリングで数を伸ばし、スミス「チヌペンFW」のトップパターンで入れ替えを行うという展開で3,320gをウエイイン。卓越したテクニックでキャッチしていく量はハンパない。開始1時間足らずでベースウエイトの3kgに達したというその破壊力は凄まじい。
第4位は激流の橋脚を制圧した前原裕之選手。ボートコントロールもさることながら、魚をかけてからのランディングについても一筋縄ではいかないエリアだけにそのテクニックに脱帽である。ビッグシーバスとクロダイを1本ずつ持ち込み3,250g。もう一本のシーバスがギリギリノンキーパー判定であったことが悔やまれるが今回最もウエイトを出せるパターンのひとつであったことは間違いないだろう。
第5位は昨年の最終戦に続く5位で好調を維持している伊藤彰選手。1番筋の崩れカキ棚で狙い通りのキッカーシーバスをキャッチした後、シャッディングでクロダイを追加し2,850gをウエイイン。着実な成長を遂げているスーパーヤングアングラーが10代でHOTを制するのももはや夢では無くなっている。
第3戦は初開催の真夏が残る8月26日
次戦はこれまでで初めての開催となる8月のHOT。過去データが一切なく、真夏をまだまだ引きずっているであろうタイミングでの開催。果たしてどのようなパターンが優勝者を出すのか。そしてH.O.Y.の行方もこの第3戦の結果が大きく関わってくることから上位陣の動向には要注目です!