第2戦 SUZUKI MARINE CUP 結果

 SUZUKI MARINE Cup CONTENTS | STORY | PATTERN | 2nd STAGE RANKING |

 SUZUKI MARINE

HOT 10周年記念プロジェクト

 開幕戦のストーリーでもお伝えした通り、今年はHOTが現在の運営体制・レギュレーションになってから10周年。そこで、これまで名誉だけということで特別な賞品等があまり無かったHOT年間チャンプに新たな大会スポンサーである『G-FISHING』様より、年間チャンプ副賞として「GAMIN echoMAP CHIRP 75sv」をご提供いただきました!

 そして、前回の開幕戦ストーリーでもお伝えした通り、HOT年間チャンプにはバスフィッシング・プロトーナメントの本場アメリカでの年間王者に与えられる称号A.O.Y.(Angler of the Year)を参考に、“H.O.Y”(HOT of the Year)というタイトルを新たに創設し、HOTチャンピオンカップを製作することで調整を進めています。今後、HOTで年間チャンプを獲得するとこのチャンピオンカップにそのアングラーの名前が刻まれ永年に渡ってその功績が称えられることとなるでしょう。もちろん、これまでの過去10年分の年間チャンプは全員の名前を予め刻む予定です!

 第2戦の参加者の皆さん、このチャンピオンカップへの多大なるご協力、誠にありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。

 

HOT第2戦『SUZUKI MARINE』CUP

 長年にわたり冠スポンサーとしてご協力いただいている『SUZUKI MARINE』様。HOT参加艇の約7割ものシェアを占める4ストローク船外機DFシリーズをはじめ、2015年にデビューした23ftオリジナルフィッシングボート『FAVAS』も大好評!どんな状況でも変わらぬ信頼性が海の上では何よりも大事なこと。現代の船外機に求められるひとつひとつの要素に高レベルで応えているからこそユーザーに選ばれているのではないでしょうか。HOT参加者に聞いたSUZUKI船外機のイメージは次の通り!『圧倒的な低燃費』・『エンジンがかかっていることを忘れるくらいの静粛性』・『すばらしい故障の少なさ』という結果でした!

 

前日までの浜名湖

 梅雨真っ只中の開催となったHOT第2戦。しかしHOT直前にはまとまった雨は結局降らず、この時期特有の長雨によるインレットからの濁りという要素は皆無となっていた。水温も強い日差しに比例してグングン上昇し、奥浜名湖エリアのシャローでは日中30℃を超える夏本番のコンディションとなっていた。

 前日プラクティスはそんな真夏を思わせる快晴であり、午前中はほぼ無風。魚の反応も極端に悪く、ベストシーズンであるはずのクロダイ&キビレをターゲットにしたトップウォーターパターンは沈黙し、ハイタイドにもかかわらずシーバスの活性も低かった。この前日プラクティスで好感触を掴んだ選手はごく少数に限られ、魚を見失ったままトーナメント当日を迎える選手が大半となったのである。

 

当日の状況

 そしてHOT2017第2戦当日の天候は曇り。朝から薄日が差してはまた曇るというアングラーにとっては絶好のコンディション。終日雨は降ることなく、朝から風はほぼ無風、10時すぎから南風が吹き出しその後はトーナメント終了まで南よりの西や東にコロコロ風向きを変えつつ適度な風が供給されていた。

 タイドグラフについては以下の通り。満月の大潮というハイタイドであり、5時11分に満潮で潮位は118cm。干潮は12時16分で潮位は12cmである。つまり、スタートの7時以降は上げから間もなく潮止まりを迎え、その後帰着までずっと下げというタイドだ。開幕戦とほぼ同じようなタイドとなるが、浜名湖で釣りをする上でベストなタイミングのひとつである「大潮の下げ」がキーポイントとなる可能性が高く、それらを踏まえて戦略を練ることが必要であったのではないだろうか。

 

ドラマがあり過ぎの第2戦

 HOT2017第2戦の参加人数は59名。そしてウエイインに成功したのは19名でありウエイイン率は開幕戦に続き32.2%という低さであった。魚種別で分析すると、シーバスが7本、クロダイが5本、キビレが11本、マゴチが7本という内訳であり、1本キャッチするのが非常に難しいコンディションであった。さらに水温が高いことから引き起こされる酸欠等によるキープした魚のケアが実は今回の最大のキーポイントであったことは、多くの選手が手遅れの状態になってから気付くのであった。

 そう、この第2戦、明暗を分けたのが『デッドフィッシュ』であった。

 

スポーツフィッシングとしてのレギュレーション

 HOTのレギュレーションではウエイイン(検量)できる魚はすべてが生魚となっている。これはキャッチ&リリースによるスポーツフィッシングの概念と、資源保護への啓蒙活動のひとつとして一貫してHOT創成期から変わっていないルールである。ただし、そうは言ってもアマチュアトーナメントであり、みんなでワイワイ楽しむことも必要であるし、自らキャッチした新鮮な魚を美味しく食すことも必要である、とも考えているため、ルール上は完全死魚は検量対象外としているものの、腹を見せてひっくり返り、死んでしまう直前の状態でもエラを動かしていれば-300gで検量することができることとなっている。ひっくり返ってはいるものの、キンメになっておらず回復可能と判断できる個体についてはペナルティは無しというレギュレーションだ。

 

 そして、さらにウエイインのタイミングについてもこのデッドフィッシュを減らすため、12時半までは事前ウエイインを認めており、スタートからこの時間までに検量した魚は1本につき-100gでスコアとすることが可能である。しかし、事前ウエイインした魚については二重検量を防ぐため、リリースするか弱っている場合はその場でシメて持ち帰ることを義務付け、その後入れ替え可能な魚が釣れたとしても事前ウエイインで検量済みの魚は入れ替えはできないルールとなっている。

 さらに、12時半から帰着締切の13時までの30分間は検量できない時間として設けられた30分間である。これはスムーズに運営・検量・撮影等をするには最低4人のスタッフが必要であり、この運営スタッフの多くはHOTに参加している選手がボランティアで行っている。この30分間もウエイイン可能としてしまうと、選手としてHOTに出場しているにも関わらず、他の選手より早めに帰着せざるを得なくなるのだ。今回の下げ止まり直前のタイミングはシーバスを狙う上で13時ギリギリまで釣りができるかできないかで大きく結果が変わる可能性があることから、他の選手と同様に13時までに帰着し、それからウエイインの運営スタッフとして加わるという流れが平等である。これがもし、釣ってきた選手が13時前にどんどん検量に来てしまうと混乱して集計ミス等の原因になるため、12時半から13時まではウエイイン不可の時間となっているのでご理解をいただきたい。

 

「バラシ」や「ラインブレイク」よりも痛いミス

 しかし今回は痛過ぎる「デッドフィッシュ」が続出してしまうという事態となった。高水温期は水中の溶存酸素量が減っても新たに酸素が溶けにくい状態となりライブウエルの中で酸欠状態に陥ることが多い。さらに、ルアーを飲んでしまい無理に外すことでエラや食道を傷付けてしまいそれが致命傷になる場合もある。実は今回、2名ものアングラーが表彰台に絡むウエイトを「デッドフィッシュ」によって失っている。

 ある選手は2,600gオーバーのスーパービッグマゴチをキャッチしていたが、飲まれたルアーが原因でデッドとなってしまった。トーナメントで「たられば」は禁句だが、バラシやラインブレイクよりも痛いミスであり、もしこのメガマゴチがウエイインされていれば…実は表彰台確定であった。そしてもう一人の選手はなんと、優勝争いをしていたのだが…。

 

完璧な夏パターンで内山徹選手が初優勝!!

 

 今回、夏の第2戦を制したのは、HOT創成期から出場し続けて上位入賞常連の内山徹選手!! 2011年にHOT年間チャンプにも輝いている同選手であるが意外にも初優勝ということで、昨年の最終戦を制した内山和章選手、開幕戦優勝の清水豊記選手に続きベテランアングラーの10年越しの初勝利がこれで3連発ということになった!!恐るべしオヤジパワー!!ヤングアングラーでHOTを最初に制するのは誰なのか楽しみな運営スタッフをよそに、高い壁として立ちはだかるベテラン勢には脱帽である。

 内山選手が持ち込んだ魚は3本ですべてがキビレ。前日プラクティスで猪鼻湖の東急ワンド奥にあるシャローフラットに魚影を確認しており、その内の1本をトップでキャッチ。遠目に見ていたサイズとは違い、想像よりも大きかったそうで他に見つけたパターンも無かったことから本戦でもこのエリアで粘ることに決めたという。

 そして、当日はエリア到着直後の8時にポッパーで1本目のキビレが入るもののその後4時間ノーバイト。釣り方はサイトフィッシングによるトップウォーターで、魚影を確認できているからこそ反応してこない魚に焦りがあったそうだが、このスポットに風が当たり始めた12時過ぎに怒涛の2連発!!ルアーもポッパーからラッキークラフト・サミー65に替えリミットメイクに成功! 3,270gで第2戦の覇者となった。

 

幻のブッチギリ優勝ウエイト

 そして準優勝はシーバス2本で3,120gを持ち込んだ小川貴朗選手。3番鉄橋から南エリアを中心にラッキークラフト・ビーフリーズ65ダイブを使いグッドサイズのシーバスをウエイイン!優勝まであと150gという僅差の準優勝… のハズだった。いやいや、間違いなく準優勝ではあるのだが、なんと実は「デッドフィッシュ」で魚を失っていたのである。しかもそのシーバスはウエイインした個体と同じくグッドサイズ。ということは、限りなく5kgに近いスコアになり…。これもリアルなトーナメントであり、魚のケアもテクニックのうち、事前ウエイインに行くタイミングも状況判断のうち、そして運も実力のうち、である。おそらく今後、小川選手は近い将来に正真正銘のブッチギリ優勝を見せてくれる、と筆者は信じています。それにしてもこの「ビーフリーズ65ダイブ」のパターン、会場では詳しく解説していただきその超強力な破壊力はトレンドとなる可能性大である。

 

上位陣のミドルレンジ~ディープとシャローパターン

 第3位入賞はキビレ×1・シーバス×2のミックスバッグで2,660gをウエイインした近藤栄文選手。女ヶ浦沖にある地形変化に照準を絞り4~6mという浜名湖では深めのレンジをテールスピンジグで攻略。最初は順調にキビレが釣れていたが、途中から状況が変わりヒットしてくる魚もシーバスに変化したという。コンスタントにバイトを引き出したことで、超タフコンディションと化した浜名湖でキッチリとリミットメイクに成功し、入れ替えまでするところがサスガである。

 第4位入賞は昨年の同時期に行われたHOTでも優勝している堀勝次選手。庄内湖に狙いを絞りキビレのみでリミットメイクし2,490gをウエイイン。レクストのストークを使い開始2時間余りで勝負を決めた。

 そして第5位は2本ながらシーバスをキャッチし2,260gをウエイインした石塚哲史選手。3番側導流堤のすぐ北にある地形変化をバスデイジャパン(ジップベイツ)のリッジディープで攻めて1本、山崎にある崩れカキ棚をバスデイ・レンジバイブ55ESで攻めて1本をキャッチした。

 という表彰台5名の結果であるが、前述のスーパービッグマゴチが「デッドフィッシュ」でなければ3位もしくは4位という位置であっただけに残念!今回はクロダイ&キビレと並ぶキーターゲットであるシーバスが、実は下げが効き始めたタイミングでシャローに現れ始めることから時間による存在に気付いた選手とそうでない選手で戦略が大きく変わった。だが、見つけられなかったからこそクロダイ&キビレに絞り結果的に釣れた選手と、見つけてしまったからこそシーバスにこだわり撃沈した選手が存在していたのも非常に面白い第2戦の結果となった。

 

今回もやります!!HOTだから解る!驚愕のヒットデータ

 今回のヒットデータは以下の通りである。傾向としては魚種を問わずバイトが集中した時間が大きく分けて2回存在している。まず8時前から9時半までの約2時間弱では、干潮に向かうタイドグラフによりカレントが本格的に効き始めたタイミングということになるだろう。そしてもうひとつが、11時から12時までの1時間だ。ここは潮位が下がり、風も適度に吹いてタイミング的には最もこの日アツイ時間帯であることが読める部分である。いかにこの時間に正解のスポットを攻めているかが重要であり、朝から釣れない状況が続いていても集中力が途切れず精度の高い攻めが出来ているかどうかが勝負の分かれ目になったであろう。

 実際に上位5名のうち2名が最初のプライムタイムを捉えており、残りの3名がその後の11時からの約1時間でスコアメイクに成功している。もっと細かく見ると、5位の石塚選手以外の4名は、この2つのプライムタイム中の約30分間で全員が2本のターゲットを連続でキャッチしている。4名ともそれぞれ2本の同じ魚種を、同じエリアで、同じルアーを使ってこのどちらかのプライムタイム中に連発させているのである。完全にパターンがハマッたとまでは言えないものの、この厳しい状況の中でかなり的確にターゲットの動きを捉えていたかがよくわかる結果となったのである。

  キビレ クロダイ マゴチ シーバス ヒラメ
~7:30 1        
~8:00 3 1 2    
~8:30          
~9:00 2   1 1  
~9:30 2 1   1  
~10:00   1   1  
~10:30          
~11:00   1 2 3  
~11:30 1   1 1  
~12:00 1 1 2    
~12:30 1        
~13:00          

 

 

 

H.O.Y.の行方

 HOT2017は早くも半分の日程を終了。現時点の上位暫定年間ランキングは以下の通りである。

RANK 氏名 合計pt 1st 2nd
1 清水豊記 70 40 30
2 内山 徹 70 30 40
3 鈴木孝啓 66 32 34
4 清水寛文 63 34 29
5 高橋弘光 57 29 28
6 松田秀生 56 31 25
7 鈴木将浩 44 39 5
8 坂神圭吾 43 38 5
9 近藤栄文 43 5 38
10 小野田賢一 42 37 5

 なんと開幕戦を制した清水選手と、今回の第2戦を制した内山選手がまったく同じスコアで暫定1位。このベテラン2名を追うかたちで4P差の暫定3位につけているのが昨年のH.O.Y.鈴木選手。しかしながら、各トーナメントで30位までに入れば年間ランキングに加算されるポイントを獲得することができるが、開幕戦は14名、第2戦も19名しかウエイインに成功していないのでまだまだわからないのである。ちなみに2戦ともにウエイインできたのはたった6名だけだ。つまりこの6名が残り2戦で一度でもノーフィッシュをやってしまえば非常に多くの選手にH.O.Y.のチャンスがまだ残されている状況で後半戦に突入ということになる。はたして栄冠は誰の手に??
 次戦は9月24日に開催予定です!!

 

 (report:小野田賢一) 
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