第1戦 オンスタックル CUP 結果

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 オンスタックルデザイン

 

みなさまに支えられHOT10周年

 今年はHOTが現在の運営体制・レギュレーションになってから10周年!!ここまでHOTが長く、そして毎年成長しながら開催することができたのも参加者の皆さんと、協賛スポンサー各社様の多大なるご協力あってのことであり、この場を借りて厚く御礼申し上げます。


2008年6月15日
新体制HOTとして開幕
すべてはここから始まった

 この10年、浜名湖のルアーフィッシングは大きく発展し、フィッシング業界、マリン業界から見ても間違いなく成長市場となったのではないでしょうか。ほんの数年前まで、「浜名湖は6月にならないと釣れないので、湖内用のタックルが売れ出すのも6月から」ということをイシグロ店員さんから聞いて、それならHOTで情報発信してルアーが売れるシーズンを長くしよう、と思って始めたのが開幕戦の4月開催でした。

 当時、筆者はデイゲームでも3月からシーバスを釣っていたのでこの目論見は当たり、メーカーさんにとってもショップさんにとっても浜名湖のモノが売れるシーズンは2ヶ月以上伸び、一定の経済効果があったと考えています。現在ではボトムワインドの登場で年中魚が釣れるようになり、それこそHOTが存在してなかったら世に出てこなかったテクニックやタックルは数多くあったはずです。

 シーズンが長くなるということは、それだけ経済(つまりお金)がまわる機会が多くなるということ。HOTの目的のひとつに地域経済の発展・活性化というものがあります。釣り人が動くことで少なからずコンビニやガソリンスタンド、アパレル、交通、宿泊施設などの売上につながり、レンタルボートを借りる人が増え、マイボートを購入する人も増える。

 エレキが売れ、魚探が売れ、それらが壊れることで修理するお店や業者さんに経済効果が生まれ、モデルチェンジで買替需要が発生する。ひと昔前までは浜名湖でタブー視されていたエレキについても、ここにきてルアーフィッシングのアングラーはもちろん、落とし込みでクロダイ・キビレを狙うエサ釣り和船の方々にも極めて高い支持を得ており本当の意味で経済循環が起きている、そんな状況になったのは紛れもない事実であります。

 

HOTの情報発信がもたらす経済効果

 ルアーフィッシングに限らず、釣りという遊びはどこか秘密主義的な文化があります。もちろん他のアングラーよりも釣れるタックル、ルアー、エリア、テクニックなどは秘密にしておいて優越感に浸りたい、ということもあるでしょう。ただ、それでは前述の経済発展や全体のレベルアップ、さらなる革新的なルアーやテクニックは生まれにくくなってしまいます。

 これらをすべてオープンにし、公開することこそアングラー全体のレベルアップにつながるのは10年目を迎えたHOTが証明している事実のひとつです。HOT史上最多の年間チャンプに輝いた堀選手が公開したシャッドパターンでは「マーゲイ」が売れ、「ザブラシャッド」が発売即ウイニングルアーになり、筆者と前原選手が火付け役となった『ボトムワインド』は浜名湖のルアーフィッシングを根底からひっくり返すほどの爆発力で大ブームとなり、例外なくみんなが釣れて笑顔の釣果をもたらしてくれました。「ZZHEAD」と「マナティ」も爆発的な売上となり、まさに経済波及効果の中心にHOTの情報公開がありました。

 今後もHOTでは協賛スポンサー各社様の発展を最重要に考え、浜名湖というフィールドの環境保全と周辺地域への社会貢献として引き続き経済発展の追求、そして参加者の皆さんにいつ出場しても魅力的な非日常の空間を提供できるよう努力していきたいと改めて思っています。10周年のHOTを何卒よろしくお願い申し上げます。

 

HOT2017 開幕戦前日までの浜名湖

 今シーズンの春はひと言でいえば「遅い」である。例年全国のトップを切って開花する静岡県のソメイヨシノは東京から満開の便りが届いているにもかかわらずやっと浜松は開花したところ、という状態。しかし、冷静にこの春を分析してみると、確かに桜は遅いものの3月に入ってからは真冬日はほとんどなく、「安定した肌寒さ」の日が多かったのである。つまり、例年よりは気温が若干低いものの、ガッツリ寒い日は少なかったのだ。その証拠に3月はシーバスの釣果は好調を維持しており、キビレ・マゴチもポツポツという悪くない状況であった。各魚種の入湖も例年通りかそれ以上と感じているアングラーも多く、これはいつにも増して釣れる開幕戦になるのでは、と予想したアングラーもいたはずだ。

 しかし、前週に状況は一変。強い冬型の気圧配置により4月最初の週末は真冬のような寒さとなった。山間部各地では降雪があり浜名湖の水温も外洋の潮が届かないエリアでは10℃を下回っていたのだ。ただ、週明けからイッキに気温は上昇し連日20℃近い春本番という天候。ただ、開幕戦の3日前より雨が続き、ついには当日までこの雨を引きずることとなったのである。無論このような急激かつコロコロ変わる過酷な状況変化は春先ということもあり、ターゲットの動きを鈍らせた。前日プラでは魚を見失う選手が続出となったのである。

 

当日の状況

 そしてHOT2017開幕戦当日、雨は止んだものの無風に濃霧という朝のコンディション。天候はスタート直後こそ降雨があったものの、予報通り9時すぎから回復し時折太陽が見える薄曇り。ただ、無風だった8時台から徐々に風が出始め10時には西の風7~8mという状況で帰着時刻の13時までこの風は収まることはなかったのである。気温については非常に過ごしやすく20℃前後まで上昇し、水温も安定した。しかし、雨の影響を受けているエリアが多く、細江湖や猪鼻湖にはキツイ濁りが入り、本湖北側にも濁りが入っていた。この濁りをどう捉え、どう利用するか、またはどう避けるかが今回のキーポイントのひとつにもなった。

 タイドグラフについては右の通り。中潮最終日で次の日は大潮というハイタイドなタイミング。5時2分に満潮で潮位は107cm。干潮は11時18分で潮位は26cmである。つまり、スタートの7時前後で潮止まりを迎え、その後帰着までずっと下げというタイドだ。

スーパータフコンディションでも圧倒的な強さの『ボトムワインド』

 HOT2017開幕戦の参加人数は55名。そしてウエイインに成功したのは14名でありウエイイン率は25.4%という低さであった。魚種別で分析すると、シーバスが6本、クロダイが2本、キビレが9本、マゴチが7本という内訳であり、この全24本中『ボトムワインド』でキャッチされたターゲットはなんと15本。62.5%の魚が今回の冠スポンサーである「オンスタックル」の〝ZZHEAD+マナティー〟での釣果であり、春の浜名湖ではやはり外すことのできないパターン、そして強力な武器であることがよくわかる結果となった。

 そしてこの開幕戦、惜しくも表彰台の真ん中に立つウイニングパターンとはならなかったものの、実にお立ち台5名中3名が『ボトムワインド』を駆使して結果を出し圧倒的な存在感を見せつけたのである。

 ここ数年、春のHOTを筆頭に通年キーパーをキャッチすることのできる確率が高いテクニックとしてもはや定番となっている『ボトムワインド』であるが、ここにきて2年ほど前からそのテクニックやルアーへの工夫(チューニング)によって釣果に差が出ていることも見逃せない事実である。今回もある選手はボトムから跳ね上げる「高さ」をキモとしていたが、またある選手はステイの「時間」をキモとしていた。ルアーへの工夫としては、主にアシストフックへのチューニングが挙げられるが、オンスタックルスタッフの浦氏が自作してきていたアシストフックが素晴らしいクオリティであり筆者をはじめ各選手の間で大絶賛。なんとHOT開幕戦がきっかけで製品化に話が進みそうである。

 

完全なる裏パターンで清水豊記選手が初優勝!!

 

 今回、このスーパータフコンディションの開幕戦を制したのは、HOT創成期から出場し続けて上位入賞常連の清水豊記選手!!意外にも初優勝ということで、昨年の最終戦を制した内山選手に続きベテランアングラーの10年越しの初勝利が続くかたちとなった。

 清水選手が持ち込んだ魚は2本のシーバスでいずれもグッドコンディション。秋に釣れる魚体と見間違えるほどハリのある筋肉質な個体であり、おそらくこれまでの開幕戦で釣れたシーバスの中ではベストコンディションと言える魚であった。ウエイトも2本ながら3,070gをマークし、20g差で準優勝の鈴木選手をふり切った。

 みんなが探してたシーバス。でも見つけられなかったシーバス。春の大定番となったボトムワインドでキビレ&マゴチを狙うか、それとも昨年のウイニングパターンであるシャッディングによるボトムノックでキビレを狙うか…。正直今回はシーバスについては見失う選手が続出し、難易度が高すぎて優勝パターンにはならないのではないか、と筆者は予想していたが、そんなシーバスを完璧に捉え、7度ものバイトを誘発したというのだから驚きである。清水選手以外にシーバスをウエイインした選手は4名いるが、いずれも単発で1本のみのウエイインとなっている。しかもサイズは2本が1kgほどで、もう2本はキーパーギリギリの500g台である。この結果からいかに清水選手が他の選手とは違う魚を狙ってキャッチしてきたかが理解できるであろう。ミスもあったようだがほぼ完璧な試合展開と言っていい内容である。

 

ノーマークの松見ヶ浦

 優勝した清水選手が狙ったエリアは奥浜名湖エリア西に位置する松見ヶ浦。普段はホンダ前や猪鼻湖などのメジャースポットにおされてほとんど名前が出てこないエリアのひとつだ。しかし、この小規模ワンドは地形的に風と濁りに強く、インレットも存在している。水深がありブレイク上はハードボトムが多いことからベイトの回遊も頻繁で、杭やマンメイドストラクチャーも豊富だ。

 トーナメント当日は前述した通り雨が上がってから西風が強く吹いた。しかも前々日から降り続いた雨の影響で都田川の濁りが細江湖全域に、同じくインレットからの濁りで猪鼻湖も濁っていた。ホンダ前や猪鼻湖が壊滅する中、松見ヶ浦だけは濁りをブロックし、インレットからの濁りもナシ。さらに西風も完全にブロックできる地形であったばかりかノーマーク中のノーマークであったため清水選手の独壇場と化したのである。同選手が狙ったのは最奥にある乱杭で、これをnadaのスパロー14g(ボラ)で攻略。最高の結果を出すことに成功したのである。

 

春の絶対的テクニック『ボトムワインド』と『シャッディング』

 準優勝はマゴチとキビレでリミットメイクし3,050gを持ち込んだ鈴木将浩選手。わずか20g差ではあったが素晴らしい結果をボトムワインドで叩き出した。エリアは鷲津航路周辺で、3/8ozのZZHEADにマナティー75(MT-AN2 スモークブルー/ピンクパール/シルバー)ですべての魚をキャッチした。

 第3位はなんと終了1時間前までノーフィッシュだったという坂神圭吾選手。庄内水路2番ポール付近にあるハードボトムをシャッディングで攻めて怒涛のバイトラッシュをモノにした。12時をまわってから約30分の間にキビレでリミットメイクを達成し2,670gをスコアメイク。これだから最後までわからない浜名湖は面白い!!

 第4位は筆者である私、小野田賢一選手。内山海岸にある枯れウイードの沖をボトムワインドで攻めてマゴチとクロダイでリミットメイクし2,460gをウエイイン。ZZHEAD3/8ozにマナティー75(MT-28 アカハゼ)で3本の魚をキャッチ。

 第5位は昨年の開幕戦も3位入賞の山田義人選手。鷲津航路周辺と村櫛海水浴場沖をボトムワインドで攻めてキビレとクロダイでリミットメイク。ZZHEAD3/8ozにマナティー75(MT-15 クロキン)をメインで使用した。

 

今回もやります!!HOTだから解る!驚愕のヒットデータ

 今回のヒットデータ、全然驚愕のヒットデータにはならず…。昨年は全戦でそれなりにデータとしての傾向が表れたこのコーナーであったが、今回に限ってはどこをどう切り取っても状況変化やタイドグラフと結びつかず、やはり早春の浜名湖はデータをも無視するくらい厳しい状況だった、ということが言えるのではないだろうか。

 しかしながら55人中リミットメイクを達成したアングラーが4名存在する事実、2本キャッチしたアングラーが2名いるため、全部で6名のアングラーが複数のターゲットをキャッチしたことになるわけである。55名の中の6名であるからわずか1割という低い割合にはなるのだが、釣れない状況でも必ずパターンは存在しているという証拠でもある。

 何が言いたいのかというと、今回はこの時間帯のヒットデータではなく、それこそ最も重要だったのは『場所』だったのではないだろうか、ということである。もちろん『場所』はどんな時も間違いなく最重要ファクターであるが、今回に限って言えば、『場所』という表現からさらに絞った『エリア』であり、さらにさらに絞りに絞った『スポット』と考えることが必要だったのではないか、というところである。

 優勝の清水選手は狭い『スポット』の中にある乱杭から7度ものバイトを引き出した。3位の坂神選手は終了間際にほとんど同じ『スポット』からバイトラッシュがあり、4位の筆者についても広い内山海岸から3本の魚が釣れた『スポット』は極狭い約100m四方の枯れウイード際だった。釣りやすい時、つまりウエイイン率が高い時ほど『場所』が多少ズレてても魚は手にすることができるのだが、今回のように厳しい状況になればなるほど正確な『スポット』を撃ち抜くことができなければ答えが返ってこない、ということである。

  キビレ クロダイ マゴチ シーバス ヒラメ
~7:30          
~8:00 2        
~8:30 1        
~9:00       1  
~9:30 1   1    
~10:00     1    
~10:30   2 2 1  
~11:00       1  
~11:30 1   1    
~12:00 1     3  
~12:30 3   2    
~13:00          

 もちろん状況が良く、釣りやすい時でも正確な『スポット』を正確な『タイミング』で撃たなければ優勝することは難しい。その精度をどれだけプラクティスで高めることができるかがトーナメントのキーとなるのは間違いないのである。

 

HOT 10周年の年間チャンプ

 さて、無事に開幕戦を終え結果的にはたった14名のウエイインとなったわけだが、これは年間ランキングレースを争う上で非常に面白い状況となった。通常であれば開幕戦で参加ポイントの5pt.を喰らうと年間チャンプ争いには当然ながら脱落という色が濃くなる。しかし昨年の年間チャンプの最終合計ポイントは124pt.ということであり、さらにトップ10の選手を見ても1位と2位の選手のみが全4戦で30位以内に入っているが、他の選手は全員一度以上5pt.をやらかしているのだ。

 フィールドが浜名湖である以上、どんなに最強のアングラーでも「必ず」釣ってくるということは非常に難しいことは皆さん当然ご存知であろう。そう考えれば、開幕戦で釣ってきた14人が残り3戦すべてで30位以内に入るというのはかなりハードルが高く、開幕戦でノーフィッシュだった選手にも十分にチャンスがあるということが言えるはずである。
 まだまだ初戦が終わったばかり。今回出場できなかったアングラーの方々も、第2戦からの参戦で十分に年間チャンプ争いに加われるので、ぜひ次戦7月9日にはまた多くの挑戦お待ちしております!!

 

年間チャンプの証・HOT/AOY『アングラー・オブ・ザ・イヤー』

 今年でHOTも10周年。これまで年間チャンプにはちょっとした副賞があったりなかったり、と名誉だけというスタイルであった。しかし、何かカタチにできないものかと考え、プロトーナメントのようにAOY、つまり『アングラー・オブ・ザ・イヤー』を創設し、年間チャンプにはチャンピオンズカップに名前を刻んでいただこう、と現在この案を検討中であります。

 もちろんチャンピオンズカップを作るのには費用がかかるため、運営費から捻出していただくわけですが、10周年記念としてもできれば立派なチャンピオンズカップを作りたいと思っています。そこで、皆様からの寄付等のご協力をこの場をお借りしてお願いいたします。計画としては、今年の最終戦までに作りたいと思いますので、次戦、7月9日に会場にてチャンピオンズカップ募金を行います。ぜひ皆さまのご協力をよろしくお願い申し上げます。また、協賛企業様や法人様でご協力いただけるという担当者様は、お手数ですがHOT事務局、ボートクラブカナルまでご連絡ください。よろしくお願いいたします。

 

 (report:小野田賢一) 
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