Vol.3 HOT2016 最終戦リアルストーリー

■ HOT2016 最終戦リアルストーリー

 今回、山田賢治選手の発案でスタートしたこの企画。HOTの全貌をどうにか公開できないものか?まだHOTに参加したことのない方々に少しでもHOTを知ってもらえないだろうか?浜名湖を相手にレベルアップ途上のアングラーに少しでもヒントになることをHOTとしてできないだろうか?という想いがあり、山田選手、黒田選手、小野田選手の3名にそれぞれカメラを乗せ完全密着ドキュメントを作成することとなった。
 本来であればHOTに参加しなければ見えてこない実際の釣りを、映像としてお伝えすることでそれこそ直接的かつ客観的にHOTというコンテンツを知ることができるのでは、と考えたのだ。

 

■リアルストーリーの概要と見どころ

 今回はご存知の通り例年の最終戦と同じくシーバス戦となった。しかし、当時の浜名湖はいつものように様々なエリアやスポットでシーバスが釣れるわけではなく、庄内湖に集中する結果となり、優勝者はもちろん上位入賞者全員と撮影した3選手すべてがこのエリアをメインとしていた。

 3選手のプラクティスの結果は以下の通りであり、前日までにつかんでいる状況を理解した上で動画を見ると、より各選手の行動が理解できるのではないだろうか。

【山田賢治 選手】

 3選手で唯一庄内湖の乱杭エリアのみに場所を絞り、前日プラクティスではよりバンク寄りのシャローに70cmクラスのキッカーを確認済。その日のシーバスのポジションを探しながら攻めるスタイルのため、リトリーブはハイスピードでありエリアをテンポ良くスピーディーにチェックしているのがキーポイント。優勝ウエイトは6~7kgに想定もトーナメント中にはローウエイト展開になると予想。

 

【黒田健史 選手】

 メインエリアは庄内湖としつつも、ノーマークの鷲津エリアをバックアップエリアとし、いかにコンディションの良い「回遊系」2kgアップのシーバスをキャッチするかに照準を合わせる。トーナメント中には狙いとは違う「居着系」の黒い個体をキャッチしたり想定外の小型シーバスが入れ食いとなったり、その変化に翻弄される場面も。ただ、そんな変化にもアジャストし最後にはキッカーシーバスを追い詰めるが…。あくまで目標はHOTレコードの10kgだが、今回は現実的ではないとし、2kg×3本以上で優勝ボーダーと読む。

 

【小野田賢一 選手】

 3選手の中で唯一前日に庄内湖で魚をキャッチしていない状況。プラクティスでは鷲津、女ヶ浦、3番鉄橋南でそれぞれシーバスをキャッチしているがすべて単発。ベイト量から判断して庄内湖にエリアを絞り、まったく見えてない中で最低限のリミットメイクを目指す。優勝ウエイトはその釣れなさから4~5kg台と予想。

 

 以上のような状況で本戦を迎えたわけである。結果からすると、まず優勝ウエイトが8200gであり、準優勝の鈴木選手もミスが無ければ限りなく8kgに近いウエイトを叩き出したであろうことから、まずこの時点で3人の優勝予想ウエイトがハズレていたことになる。
 それでも今回の状況をほぼ正確につかんでいたのはキッカーをみつけていた山田選手であり、アジャストしながらもミスに泣いた黒田選手であった。小野田選手については少し状況把握が足りなかったと言える。

 そして、その3人の差はほぼ同じエリアでありながら「リトリーブスピード」と「アプローチ」の2つのファクターがほんの少し違うだけで大きなウエイト差が出る結果となったのである。

 まず「リトリーブスピード」についてはプラクティスの段階で完璧につかんでいたのは黒田選手であり、通常より少し遅めのアクションに反応が良くレンジも若干深めというものだった。トーナメント時においてもこのスピードでスコアメイクしていくが数は出るもののサイズが上がらない、といった展開。それに対して広い範囲から魚を見つけていくスタイルの山田選手はかなりのハイスピードリトリーブ。スローで見切られることを考慮してリアクション的なバイトを狙っているが、トーナメント時にはこのスピードが結果的にサイズが良いシーバスのバイトを引き出すことに成功している。ただし、バイト数は少なくフッキングも浅いというのがデメリットではあるが、キッチリとリミットメイクし最終的には3人の中で最上位の5位に入賞となる。

 そして次に「アプローチ」。これは山田選手と黒田選手はロングディスタンスでのアプローチに対して小野田選手はショートディスタンス。昨年まではそれほどのプレッシャーがトーナメント中であってもかかっておらず、ショートキャストで攻めてなるべく近い距離で魚を掛けることによってランディング成功率を高めていたのが小野田選手であったが、今回は同じエリアがシーズンを通して叩かれた結果、ショートディスタンスではバイトそのものが激減することになった。それに対してロングディスタンスでのアプローチは明らかにバイトが多く、よりプレッシャーをかけずに攻めることが重要であった。もちろん乱杭に巻かれたりすることでラインブレイクやバラシにつながる危険性は高くなるが、まず魚を掛けないことには勝負は始まらないのである。

 

 さて、このような展開の中で状況を理解した上でぜひ改めて動画を見ていただければ、より3選手のそれぞれの思惑が手に取るようにわかる部分も多く発見できるはずである。この動画を今シーズンのHOTに、そして皆さんのレベルアップに少しでも繋げていただければ幸いです。

 

~ HOT2016最終戦 完全密着!vol.1 ~

 

~ HOT2016最終戦 完全密着!vol.2 ~

 

~ HOT2016最終戦 完全密着!vol.3 ~

 

 (report:小野田賢一) 
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