■ ウィニングルアー「nada.」
この度、浜名湖オープントーナメント2016初戦において、nada.からリリースされたばかりのVIZRA(ビズラ)がウィニングルアーとなることができたということで、せっかくの記念に浜名湖で生まれた一風変わったこのルアーの開発秘話や使い所を制作者の黒田氏に語っていただきました。
どうしてビズラが生まれたのか。
浜名湖でしばらくルアーフィッシングをしていると一つの事実に気付くと思います。
それは最も様々なルアー、メソッドに反応する魚種はキビレだということ。水面からボトムまで、そしてルアーのサイズやジャンル問わず反応してくるのがキビレです。
その中でも特にキビレは、フラッシング(ブレードやボディの反射)に『食性だけでなく威嚇的に反応』してくることが多く、シーバス狙いのスピンテールに度々良型のキビレがバイトしてくるということが起きていました。
ただキビレやクロダイが多く生息しているような『ハードボトム』や『マンメイドストラクチャー』は根掛かりが多い場所でもあり、スピンテールで狙って攻めるのは至難の業。
そこでそんな場所で使用することができ、且つフラッシングさせられるルアーが欲しいというところからビズラの構想はスタートしています。
余談ですがこれを最初に思いつき、自作し始めた5年程前はボトムワインドによるキビレ&マゴチが全盛だったタイミング。私のスタイルであるシーバス狙いが非常に苦戦し、安定感のあるキビレを他のエリア、釣り方でコンスタントに触れないかと試行錯誤していたタイミングでもあります。
■ 初期プロトは欠陥だらけ
まず最初に思いつくままに作成したのが左画像の初期プロト。
作成したモックをシリコン型に型取りし、鉛を流しただけのもの。根掛かりを軽減させるため、ボトムに接触するヘッドから金属シャフトでフックを離し、更にブレードを下に付けガードの役割をさせるというコンセプト。
ブラックバス用のスピナーベイトと、スピンテールの中間のような形をしたこの初期プロトはフックとブレードが5投に4投は絡む使い物にならないものでした…(笑)
■ セカンドプロトでファーストフィッシュ
そこでフックをゴム管を使用して固定し、絡みを対策したモデルを作成。
絡みによるトラブルは劇的に減少しましたが、次なる問題点も見えてきました。
1つ目はボトムを連続でタッチさせるとヘッド及びシャフトが岩の隙間にスタックというかたちで根掛かりが発生すること。
2つ目は根掛かり軽減のためフックとブレードが離れているのでフッキング率が低くなってしまうこと。
この状態でも十分に自分の中で使えるものでしたが、まだまだ完璧には程遠い完成度でした。
■ 色々な試行錯誤
問題1のスタックの軽減のために適度に柔軟性を持たせるためシャフトから各種ワイヤーに変更したものを試作し、強度と使い心地をテスト。
問題2はブレードとフックの距離も試しましたが、それはトラブルとの蜜月関係でもあるため、次に試したのはフック周辺にアトラクターとしてラバーを巻くことで対策できないかを試しました。
このラバーチューンが非常に効果的で、フッキング率だけでなくバイト数も明確に増えました。そして、自分で色々と試行錯誤しよくよく考えるとブラックバス用のスピナーベイトの要素を形は違いながらも満たしていることに気付き『やっぱりスピナーベイトって凄い』と考えさせられました。
そして月日は流れ…… nada.で製品化するにあたり、耐久性を高めるためチューブ+シリコンラバーからオリジナルタコベイトへ変更、当然ヘッドもしっかりと作り込みました。と、ここまで熱く開発秘話を綴ってまいりましたが、ここまで読んでいただければお分かりの通り、基本はただ投げて巻くだけで根掛かり少なくしっかりとバイトしてくる異形スピンテールです。
今まで根掛かりが怖くて魚が居るのは分かっているけどルアーを投げ込むのに躊躇していたようなポイントや、キビレクロダイ狙いのローテーションの一つとしてボックスに忍ばせて頂ければと思います。
新たなスピンテールの形「VIZLA」アクション動画